まるで居心地のいい焼き鳥屋さんに立ち寄るような。ほっと心癒される物語。
- ★★★ Excellent!!!
まるで、店主の心遣いの行き届いた焼き鳥屋さんでくつろぐような。そんな、明るくてほっと癒される空気に満ちた物語です。
「焼き鳥屋まいど!」は、本陣メーエキ商店街で多くの人から愛される焼き鳥屋。主人公の彦一は、祖父である文太の焼きの技を学びながら店に立ち、二人の妹つぐみ、ひばりの学生生活をも頼もしく支える大黒柱。
二人の可愛らしくも逞しい妹と、ちょっと気ままな祖父。そして、とんでもなく奔放な自分の父親の存在……物語の展開とともに、この家族のちょっと複雑な裏側が次第に見えてきます。
この作品は、3つのお話の連作で構成されています。3つのストーリーそれぞれに、家族の個性豊かなキャラクターやその時々の彼らの心情、それらが絡み合って生まれる人情の温かみがぎっしりと詰まっています。そして、彼らを取り巻く商店街の人々との絆の深さも時にコミカルに、時にじわっと胸に迫るような熱さを持って丁寧に描き出されます。
物語に常に流れる前向きな明るさと心地よい温もりは、まさに「また来たくなる焼き鳥屋」そのもの。ほっと一息ついた時に、ふとまたあのカウンターへ座りたくなる……そんな、癖になる味わいです。
ほのぼのと暖かく、細やかな愛情に満ちた、心を優しく癒してくれる素敵な物語。ぜひ暖簾をくぐってみてください。