友達
【書籍化のお知らせ】
更新が久しぶりな上に、ご報告が遅くなってしまい申し訳ありません……
この度、株式会社KADOKAWA様より本作を書籍化させていただくことになりました。
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発売日:2020年9月10日←もう来週です……!
レーベル:カドカワBOOKS
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イラストなど、詳しくは活動報告をご覧ください。
皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました!
体調不良と仕事の忙しさが重なってなかなか更新できずにいますが、続きもちゃんと書いて完結させたいと思っていますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
▼本編
目の前でべそべそと泣くココを見て、わたしはたまらず魔王さまにしがみついて言った。
「ま、魔王さま」
だって、やだよ……。
わたし、ココが悪いことしたなんて何も思ってないのに、罰されちゃうなんて。
第一わたし、何も怪我してないもん
「魔王さま、やだよ。ココにひどいことをしないで、お願い……」
なんて言っていいか分からなくて魔王さまにしがみついてそう頼んでいると、険しい目つきをしていた魔王さまの目元が、不安そうなわたしを見て緩んだ。
「……」
「本当にいいのか? お前は怪我をしていたかもしれないんだぞ」
「い、いいの! わたしが許すって言ってるんだもん」
そう言うと、魔王さまはしばらくわたしを見て、苦笑した。
「……分かっている」
「!」
「子供相手に、俺がそんな本気で怒るわけないだろう」
なんだ……わざとやっていたのか。
わたしは魔王さまの顔を見上げて、ほっと安心してしまった。
それは子どもを叱る大人の顔だったからだ。
「ココ・ブラシェット」
「は、はひ」
「お前に罰を……と言いたいところだが」
魔王さまは、ため息を吐いた。
「姫が嫌がるのなら、まあ、与える意味もないだろうな」
魔王さまはわたしを大切そうに抱き直した。
わたしは魔王さまの腕の中に小さく収まっている。
「プレセアの願いに免じてお前を特別に許す。以後、このようなことがないように気をつけろ」
魔王さまは呆れた顔でココを見て言った。
ココは目を丸くする。
「そ、そんな……私、どんな罰でも受けますの。だって、だって……」
ココは衝撃を受けたようだった。
何か言いたげに、口をパクパクとさせている。
小狼達が、わたし達の微妙な空気など読まずに、モッフモッフとその場をかけていた。
とうとうココの焦げ茶色の目からポロポロと涙がこぼれ落ちる。
「こんなに優しくしてくださいましたのに、私……」
あらあら……。
わたしは魔王さまの膝からぴょこんと飛び降りて、ココのそばへよった。
モフモフ達も追いかけてくる。
「いいんだって。別に何もなかったんだもん」
「本当に? 私、女神さまのお子様であらせられるプレセアさまに、とんでもないことをしてしまいましたのに……」
あんなにチクチクした態度をとっていたのに、えらく素直な子なんだなとちょっぴり笑ってしまった。
「ごめんなさいですの」
「うん」
「姫様は思っていたよりも、ずっとずっと素敵なおかたでした。文句のつけようがないくらいに」
大げさだなぁ。
「ふふ」
「……?」
なんだか、笑えてきた。
おろどくように目を瞬かせるココを見ながら、わたしは頬を指でかいた。
「なんでかな。なんか、嬉しいんだ」
「え……」
「人ってさ、第一印象悪くても、行動次第で勘違いを解けたりするんだね。ちゃんとわたし自身を見て、評価をしてくれるものなんだね」
人間界にいた頃のことを思いだした。
どんなに頑張って治療しても、この不思議な見た目のせいで、わたしは誰からもちっとも感謝されなかった。
魔力を秘めた悪魔の子だって、石を投げられたこともある。
悪い子っていう印象が、何をしたってかわらなかったんだ。
「ありがとね。いいこと教えてくれて」
「ひ、姫さま……」
わたしが変なこと言っちゃったからか、ココは戸惑っていた。
「だから、あなたを許します。その代わり……」
わたしはにぱっと笑って、手をココに差し出した。
「友達になってくれる?」
へへ、と笑うとココはびっくりしたように目を丸くしたのだった。
聖女をクビになったら、なぜか幼女化して魔王のペットになりました。 美雨音ハル @andCHOCOLAT
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