スペース・カウボーイの前日譚のような物語

引退した凄腕の元女兵士が開拓星の雑貨屋で職を得て働き始める話です。
SFファンにはピンと来ると思うんですが、モチーフはたぶんあのスペース・カウボーイかダーティな奴らです。雰囲気も良くて愛すべきヒロインのボニーや店主のキャラも凄くいいです。文章も上手で読みやすい。もうセンス有りまくり。

ただ、ここまで整っていると多くの人が私と同じ期待を抱くはずなので最初に言っておきますが、この設定に釣り合う大事件は起きません。言ってみれば大ヒットSF小説の前日譚のような感じでしょうか。

ですが、それ故にこれは今読んでおくことに価値があります。このまま作者がプロットを練り続けて舞台装置が大きくなれば続編で大ヒットする可能性が大だからです。

本作は単体として見ても、きちんと纏まりのある構成で哀愁の漂うラストも凄く良かったです。
読めばきっとボニーがさらに大活躍する次回作を読みたくなると思います。