ただ生きていないだけの存在たちは、何を苦しむのか

確実にそこにいるのに、自分達6人だけしかお互いの正体を認識していない。
それを知った子どもたちは、コンビニ、カラオケ、図書館など至る所に入り込み、むちゃくちゃな悪ふざけを延々と繰り返します。それもほとんどの人間には気づかれない、何故なら彼らが干渉できるのはあらゆるものの「霊体」だけ、しかもどれだけ物をめちゃめちゃに壊そうと、その内そっくり基に戻ってしまうから。
幽霊の子どもたちは特に反省せず好き放題を繰り返し、物語が終わってからもおそらくそれを続けていきます。だってお行儀良くしなくても人間は彼らに気づかない(偶に人間は無自覚ながらも彼らを踏んだり撥ねたりすることもあるものの、意図的な攻撃はない)から、大人しくする理由はないのです。彼らを破壊しようとする人ならざる存在もいますが、子供達は賢いのでそこまでの敵ではありません。うわ~、無敵の悪ガキだ。

それだけに、徐々に彼らが内に抱える寂しさ、永遠に何も変わらないかのような日々への疎ましさ、無自覚な過去への恋しさが滲み出るシーンには引き込まれます。暴れ回る動機には、見つけてほしさもあったのかもしれません。
第2話「ミキオの憂鬱」を読んだ時の第一印象は、「餓鬼」でした。食物に飢えてはいないし昼間はほぼノーリスクで好き放題できる自由はあるけれど、元々の6人のうち一人の「功志」が仲間にも暴力じみた行動を取った上に自殺行為にまで走ってしまうほどに、彼らは孤独感に耐えられないようなのです。ほぼ全てが元に戻るので幾ら悪ふざけをしてもバレないということは、逆に言えば何をしても自分達の外に結果や意味を作り出せないということなのかもしれません。
ただし、もしかするとエンディングの彼女とのかかわりが、今後彼らの心を満たしていくのかもしれません。味わい深い話をありがとうございました。

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