彼等の終わらない鬼ごっこその行方は
- ★★★ Excellent!!!
とても丁寧な筆致で、乾いた小さな世界を
淡々と描く。
彼等のヒリつく様な孤独。逃げても尚、追い縋って覆い尽くす永遠の孤独を恐れて
更に又、逃げている。
夏の終。あの賑やかで明るい季節は移ろい
秋へ、そして冬へと。季節が移ろう中で
白く切り取られた世界の中で。
彼等の永遠とも思える 鬼ごっこ は、
一人の少女の参入により揺るがされる。
少女も又、白い匣の様な日常に囚われて
いる。深々とした世界の中で。
それは、僥倖を齎すのか。それとも瓦解を
齎すのか。
この作者の描く物語は、とても小さな
それでいて非常に大きな世界を以て展開
されて行く。
幼気な頃の、そして思春期になる頃の
この世界の 不可解さ に気付いた
瞬間の絶望と希望とを淡々と紡ぐ。
作者の書庫には他にも沢山の、魂を震わせ
共鳴する様な作品がある。
打ち明ければ『吸血鬼の学舎』について
紹介しようかと思っていたが、それは又
別の機会に。
この作品と作者に出会えた事は、
僥倖である。