クールさと熱っぽさを綴じ込めた、最高にカッコいい小説

「最高にカッコいいな、これ!」
あまりのカッコよさに、読み終わった瞬間そう言った。

ただ、このカッコよさはカクヨムには稀なんじゃないか、とも思った。

冷徹で重厚なカッコいいとか、泥臭く熱いカッコいいとか、カクヨムには様々なカッコいい小説があるけれど、Nicoさんの描くカッコよさは、どれとも異なる気がする。

何作か読んで感じたのは、登場人物の冷めてると言ってもいいような理知的な態度と、軽妙な台詞と身振りの格好良さ。
彼らを一言で表すなら、まさにクール!

でも、マカオとラスベカスのカジノは、彼らをクールな佇まいで帰らせてはくれない。どこまでも非日常を演出する街に居れば、誰だって熱に浮かされる。

どんな生活したら、こんなにお洒落な筆致になるんだろう。なに食べてるか知りたい。

何度も読まれる小説は、オチが凄い伏線が凄い小説のことじゃない。
徹頭徹尾ひとつの空気感を、高濃度で保った小説だ。その空気に浸りきるために何度も読みにくる。

そして、僕はたぶんこれから何度も読みに来る。
この雰囲気、この筆致に浸りきって最後に「最高にカッコいいな、これ!」と言う為だ!

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