ハードなアクション。強く深い友情と愛情。生きることの苦しさと、悲しさ。

超常的な潜在能力を持つ人々を探し出し、その力を売って利益を得る能力者売買組織。それを阻止すべく、能力者たちを救い出し、保護する任務を負う組織「オリヅル」。「チーム・オリヅル」メンバーとして世界各地で勃発する超能力絡みの事件現場へ出動し、迷える能力者たちを救出するためにハードな戦いを繰り広げる少年たちの、ハードかつ爽快なアクションファンタジーです。

主人公である高校生の甲斐は、人間の纏う「色」が見えるという特殊な目を持ち、その力を超常現象専門チーム「オリヅル」で活かすことになります。同じ組織に籍を置く、やはりハイレベルの特殊能力を持つ高校生・折賀とバディを組み、やがて彼らは危険な事件の解決に目覚ましい力を発揮していきます。
そして、折賀の妹である美弥へ、甲斐の感情は次第に深まり……彼らに関わる周囲の人々との繋がりが、次第に深く、濃く描かれていきます。

この物語の非常に魅力的な点は、ただのハードで爽快なアクションものには終わっていないという点です。寧ろ、その裏にある人間の心の繊細さ、弱さ、ドロついた黒さ……そういうものが痛いほど切実に、丁寧に描き出され、読み手の心に強烈に突き刺さります。
けれど、この作品が痛々しく暗いイメージを持たないのは、それらを全て包み込む、温かく深い愛情が常に描かれているからなのだと思います。
アクションの躍動感と人間たちの感情の動き、思いの絡み合う複雑さ。それぞれの要素がどちらに傾きすぎることなく、絶妙なバランスで一つの物語に収められており、作者様のセンスと力量の高さを感じます。

物語は、第3章を終えたところです。ここから彼らがどんな物語を紡ぐのか、一層楽しみに拝読したいと思います。

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