まるで一本の映画を見たような満足感
- ★★★ Excellent!!!
西暦190年の古代日本(倭国)が舞台となる作品です。主人公ナルを始め、多くの偉大なる巫女が、立ちはだかる苦難と運命に突き進んでいく成長の物語。
まず背景となった時代に関する、作家さまの知識量がハンパではない。作品の節目に年表がまとめられており、とても分かりやすいです。倭国のみならず、三国時代の中国がきちんと絡んでいるのも面白い。
そしてなんといっても、幻想的かつ多彩な表現の文章が美しいです。この描写はどうしたら思いつくのか、読者として感銘を受けるとともに、作家としてとても勉強になりました。
個性溢れる多くのキャラクターが登場し、一人一人の感情が丁寧に描かれているのも魅力的です。あの人はどうなったのだろう? と気になる人物もおり、もし続きがあるなら是非拝読したい!
ストーリーも相当の時間をかけてお考えになったのだろうと感じました。伝説との融合がお見事すぎて言葉になりません。
本作には、壮大なファンタジー映画を一本見たような、圧倒的な満足感があります。卑弥呼自身の登場はありませんが、この時代が好きな方には是非読んでいただきたい。読み終わるのがとても寂しかったです。