そこに広がる風景が、ただ、ただ美しい

オレンジ色の大地、抜けるような青い空。
この強烈な反対色がずっとストーリーの背景に存在する。
灰色のアスファルトやショッキングピンクのランニングシューズの存在が消えてしまうほどの圧倒的なオレンジと青。

そこで何かを追い続ける『走る男』。
それは、ある時はカモシカであり、またある時はウサギでもある。

彼が、彼らが、何故諦めないのか。
なぜ走り続けられるのか。


『何に』走らされているのか。


DNAに刻まれた種の記憶と、個人の心に残る記憶。
この二つが人間の持つ本質を雄弁に語る。



枯草は風に乗ってあっという間に地平線に消えてしまった。

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