百合の妖しさと、依存のかたちに魅せられました。

「共依存」、更には「百合小説」と謳われた本作は、
その触れ込みに恥じぬほどに甘やかで、そして耽美な物語でした。

想い人が抱えるトラウマと、もう埋めることの叶わない空虚。
友愛を越えたその先にある、ねっとりと糸を引く醜い願望。

思春期の少女が持つ特有の感性と、破滅的な破壊願望が絡まり合い、
どうしようもない青春のその一コマを、作者様の巧みな筆致が切り取っています。

感情の波は、時に五線譜の上を暴れ回る音符のように。
馳せる想いの大きさに、思わず胸を掻きむしりたくなるほどに。

本作には、等身大の愛憎が詰め込まれています。
私は迷わず三つのお星様を送りました。さながら三連符ですね。