1390. エピローグ

 ――魔王城。

 聳え立つ城は、幸せと強大な力の象徴である。圧倒的な強さを誇る魔王の下、魔族は外敵の脅威から守られてきた。魔の森という最高の庇護者を得て、魔族は繁栄を続ける。


 かつて魔王ルシファーに戦いを挑んだ勇者は、人族であった。魔族の一角と思われた彼らは、別世界からの侵略者と判明する。魔の森が生み出した魔力を喰らい、世界を滅ぼさんばかりに広がった。


 魔王が愛し育てた幼女を攫い、傷つける。その罰として、魔の森と魔王は人族の排除を決めた。途絶えることなく生まれてくる勇者ごと、人族は排除される。何度も召喚され、蘇る勇者の呪いはここで消滅した。


 魔の森は豊かな魔力を取り戻し、世界は色に満ちていく。淡い色を最強とする魔族を率いる純白の魔王は、伴侶である美しき魔王妃を得てその力を振るう。強大な力で魔族を庇護する守護者となった。世界はようやく侵略者を排除し、平和を取り戻したのだ。








 御伽噺の絵本を読み聞かせ、若い母親は眠った我が子の小麦色の肌を撫でる。まだ幼い子供にとって、魔王の英雄譚は絵本の中の出来事だろう。


 人族が滅びて数百年、今も世界は平和が続いている。人族に襲われることがなくなり、森は豊かに葉を揺らして実りをもたらした。


 母親は我が子が脅かされることのない平和に、安堵の息を吐く。残虐に皮を剥がれた魔獣も、囚われて奴隷にされた魔族の話も、今はもう昔話だ。我が子がそんな危険に遭わない世界で、母親は心底安心して息子の隣で目を閉じた。


 さあ、お休み。純白の魔王と黒髪の魔王妃が守る、新しい世界の中で――幸せが満ちた美しい夢を見ながら。














     NEXT Stage……














*********************

 無事完結まで来ました。長くお付き合いいただき、ありがとうございます(o´-ω-)o)ペコッ

 外伝の要望を募ったところ、次世代のお話に集中して集まりました。登場人物の数が多いこともあり、次世代の話が長くなりそうなので……続編を計画しております。今月中に連載を開始しますので、ぜひ継続してお付き合いいただけますようお願いします_( _*´ ꒳ `*)_また続編でお会いしましょう!



*********************

2021/12/24

新作情報

『魔王様、今度も過保護すぎです!』


 お待たせしました! 『魔王様、溺愛しすぎです!』の続編です。単独でもお読みいただけます。


「お生まれになりました! お嬢様です!!」

 長い紆余曲折を経て結ばれた魔王ルシファーは、魔王妃リリスが産んだ愛娘に夢中になっていく。子育ては二度目、余裕だと思ったのに予想外の事件ばかり起きて!?

 シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【完結】魔王様、溺愛しすぎです! 綾雅(りょうが)電子書籍発売中! @necoaya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ