私の人生で探していた物は、自分の存在証明だった。

 これは深くて、泣ける。絶対に読んだ方が良い。
 姉は天才的に絵がうまかった。不治の病に侵された病床の弟は、姉の絵を描く姿も、姉が描く絵も好きだった。だから弟は、姉にいつも絵をせがんだ。しかし病魔に蝕まれた弟の目はやがて――。
 姉は弟のために絵を描く。美術部では人気があり、顧問の先生から美大を勧められた。しかし姉にとって、絵の賞は弟のために描く絵の副産物でしかなかった。姉にとって、弟に絵を描くことが人生における存在証明であり、存在意義だった。そんな姉の元に、死神が現れる。命と引き換えに願いを叶えると言う死神は、一番不幸な人と契約をするという。姉は弟の病気を治してと即答する。
 姉はリミットがついてしまった自分の人生を後悔のないようにするため、絵を描いた。しかし、死神が本当に契約していたのは――。

 死神は、一番不幸な人間と契約する。
 その意味を知った時、姉弟の互いの想いに胸を打たれる。

 是非、是非、御一読下さい!