甘く溶けて、最後にじゅわりと染み入る恋

永く筆を持っていると、その筆が滞って、だんだん熱意まで下火になっていったりして。
書き手なら、一度はそんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。

森山氏もそんな一人。
贔屓にしているアマチュア小説に、なんとなく誰かの影を重ねたりしていたら、懐かしい高校生のあの頃のことを思い出しました。
小説を書いて、うきうき読んでくれた同級生がいたこと。
触発されたみたいに、その彼女も書き始めたこと。

時を同じく舞い込んだ、同窓会と祖母の危篤の報せ。
立ち止まって遠い目をしてはいられない。
向かい来る抗えない現実に、森山氏は向かわねばならなくて──。


合作小説の男性サイドな当作。
わかりやすいよう、次話のURLが最後に貼ってあるので迷子にならずに読んでいけます。
細かい何気ない言葉選びが、リアルで、物語へ引き込んで、掴まれて、の連続でした。