はんぶんこ人間

古賀優は「ひとりきり」ですらなかった。

優は孤児である。両親に捨てられ京都木屋町の人間たちと一人の女性に育てられ、同じ境遇にあった七歳年上の女の子を姉と慕っていた。小学生、中学生と姉弟で支え合いながら成長していく。

「私たちは二人で一人前」

姉と優が二人暮らしを始めて2年が経った頃、優は高校1年だった。その年のクリスマス、突然姉が死んでしまう。

25歳になった古賀優は、自分が育てられた場所「京都木屋町」に二年ぶりに訪れる。その街のあるバーで、優は、山本鈴という「死んだ姉にそっくりな女性」に出会う。

彼女と一緒に暮らすことになった優の前に、自分自身の過去が次々に色を変えて現れるのだった。