君は正義のエビフライ

ナカタサキ

(0)四・一五事件

 平成が終わる最後の年、平成三十一年四月十五日。

 日本国内で長らく続いていた正義の組織『ヒーロー組合』と悪の秘密結社『星屑』の戦いに終止符が打たれた。後にこの日は平和記念日と呼ばれるようになる。

 ヒーロー組合が生みだした正義の少女「エビフライちゃん」が星屑に壊滅的な打撃を与えた。エビフライちゃんは自由自在に大空を飛び、星屑の秘密基地へ辿り着くと指先から強力なエネルギー弾を発し星屑を文字通り壊滅させた。派手な攻撃で近隣の一般人にも甚大な被害が出たと思われたが、被害はなかった。後にヒーロー組合の代表、黒川氏が「正義の少女であるエビフライちゃんは、ヒーロー組合が生みだした正義を愛する人々の為に開発された人造人間である。正義の少女には人の善悪を見抜く能力がある、それにより四・一五よん・いちご事件では星屑の構成員にしか攻撃をしなかった。尚、正義の少女エビフライちゃんは殺戮兵器ではない。例え相手が悪の秘密結社・星屑でも誰ひとり犠牲者を出していない」と声明を発表した。

 事実エビフライちゃんは誰ひとり犠牲者を出さずに星屑の制圧をやり遂げた。星屑の総統、星乃王玖をはじめ幹部を含む構成員を検挙することに成功した。今はヒーロー組合と警察は協力し、逃走中の構成員を捜索している。

 四月十五日を境に星屑は事実上壊滅し、ヒーロー組合とこの国の正義が完全に勝利した。

 この日を境に、街をうろつく悪人は姿を消した。悪の道の走っていた者たちは、圧倒的な力を持つ正義の少女を恐れたのだ。

 少女を人造人間にしたことに避難の声も上がったが、エビフライちゃんのおかげで日本も治安が劇的に良くなったのと、可愛くて心優しく平和の為に尽力しているエビフライちゃんの姿を見て、その声は次第に小さくなっていった。

 そして四月一五日を記念日にしようという声が上がり、四月一五日を「平和記念日」に制定されるまで時間はかからなかった。

 だがこの物語の主人公、椎名春夫しいなはるおは四月一五日を事件と扱う。よってこのパートは「四・一五事件」と表記していることを分かってほしい。

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