千年受け継がれた百首のパワーは伊達じゃない

物語は、「和本」に封じられた百人一首の和歌たちがひょんなことからバラバラになってしまい、それを高校生の八郎、従姉妹の環奈たちが集めていくという内容。

それぞれの章で八郎たちやその友人の物語が展開され、その物語に絶妙に「合う」百人一首の歌が着々と集まっていきます。(これが無理・無駄がなくて本当にすごい!)
並行して、「和本」の成り立ちや謎が徐々に明かされていくので、張り巡らせた伏線を楽しみつつ、現代の高校生・大学生たちの青春物語に心動かされるという二重においしいストーリーです。

読み終わる頃には登場人物それぞれが愛おしくなり、まだまだ彼らの物語が見たい気持ちでいっぱいになります。(ちなみに作者様の別作品「浅葱色の夢見旅行」を読んでいるとより楽しめるエピソードもあります)

すべての年代の人におすすめですが、特に古文とか百人一首って苦手だなあ、と感じている高校生の方にこそ読んで欲しいなと思います。