匂い立つ、木々の香りと恋の気配……。

いやー、なんというんでしょう。ただときめきを感じた……とかじゃなく、ちょっとした切なさとか、清涼感とか、微かな暖かさとか……そういったものが混ざり合った、心地良い読後感を得ることができました。

単純に男女が恋に落ちる……んじゃなくて、こう、終始仄めかしてる感じなのがいいですねぇ。「あとは皆さんのご想像にお任せします」的な〆方も、短編の特性にマッチして見事です。ショートムービーの脚本みたいじゃ……。

さらっと会話の中でポーランドの伝承とか飛び出してきて、「剣崎、教養高えな……」とも思いましたが、それが全然嫌味になってないから素敵。私が楓子ちゃんだったら、ほうじ茶持ってフォーリンラブしております。

この作品についた「純愛」タグは、剣崎くんの過去に対する物なのか、それとも、二人の未来も暗示しての物なのか……そんな所に想像を巡らすのも、また一興なのかもしれませぬ。ほほほ。

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