取材班が認めた真摯さとは

廃業の迫られている伝統的ちんちん伸ばし職人の取材というのは、一見して情報を提供し、スポンサーから利益を得るマスメディアとしての立場から考えるとあまり合理的ではない。それというのも、廃れている伝統、という主題だけでは集客力が見込めない為である。

それでも取材班がこのちんちん伸ばし職を営むKさんに着目したのは、一重に彼自身の真摯さにあったのではあるまいか、と思わせられる。Kさんの毎日は決して派手とは言えない地道なものだ。毎回の同じ工程をただただ丁寧に、気を抜かずに一回一回をやり切る。その繰り返しに過ぎない。しかしそれは彼自身にとっては非常に重要な事でもある。
Kさん自身、その繰り返しや積み重ねが自分や家族を支える糧となっており、またそれは先代までの伝統、そしてこれから先までも繋がるのを心の底から信じていると、読者はこの記事を通して伝わってくる事だろう。

ただし残念ながら、おそらくKさんの支えてきた仕事と同様、この記録も時とともに過去へと埋もれていくだろう。しかしこの世界にはKさんが育んできた家族、またKさんの伸ばしてきた数々のちんちん、またそのちんちんによって支えられたちんちんが確かに息づいているのである。

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