かつて迫害された孤独な吸血鬼が、唯一心を許した相手と同じ魂を持つ少女と出会い、そして結ばれるまでの物語。
耽美な雰囲気のファンタジーです。恋愛もの、と言っては語弊があるのですけれど、主軸にズドンと聳えるラブロマンス要素が死ぬほどたまらん物語。こんなのどうしたってときめいてしまう……。
かつて心を許した唯一の女と、同じ魂を持つ少女、という、いわゆる運命の相手のような設定の使い方が素敵。そこが確約されていればこそと言わんばかりの、容赦のない不遇さ不憫さ苦難困難の嵐がもう最高にえぐい。
特に悪役にあたる人々の、もう本当に憎たらしいこと! それだけに結び付近の、その開放感というかカタルシスというかは、まったく筆舌に尽くし難いものがありました。
アインさん(吸血鬼の人)が好きです。わりとなんでも出来ちゃう力があるのに、いろいろ我慢して丁寧に頑張るところとか。この辺、どの視点からも魅力的。「こんなめちゃつよ吸血鬼になりたい!」でもいいし、もちろん「こんな強くて優しい人に見染められたい!」もいける、とても素敵なキャラクターでした。