人の脅威であれ

 ラスボスとの戦いというクライマックスから物語は始まる。
 邪悪な魔術師の思惑がストーリーラインの根底に在るものの、崩壊していく地下迷宮からの脱出の中で明らかにされていくものは登場人物たちのしがらみ、その真実。とある一面で見ると『うまくいってはいけない』が、世界的に見れば『うまくいかねば滅ぶだけ』という、大きな着地点と小さな着地点を読みながら追うことになる。

 序盤こそ脱出劇であろうと身構えるが、その困難の中でそれぞれのキャラの本音が現われていくのを楽しむお話です。ポロっと出ちゃうんだ、サクっと動いちゃうんだ、ヒョイと聞き流しちゃうんだ、こういうのって、ね?

 懐かしの迷宮ものシリーズ漫画を思い出す大きい世界と閉じられた世界のお話、堪能いたしました。

 祈る気持ちを忘れずに。

その他のおすすめレビュー

西紀貫之さんの他のおすすめレビュー245