織田信長が本能寺から、現代日本の1DKに現れた!
大学生コウ太が振ったダイス事故によって召喚されたのか?
召喚の謎を理解するために、信長はコウ太に教わって、
TRPGなるものを遊んでみることにする。
1月の読了時は星だけだったので、再読してのレビューです。
私はTRPG知識はロードスリプレイを読んだことがある
程度ですが、そんな初心者でもサクサク読めます。
戦国武将なりの解釈でTRPGを理解する信長。
また、話が進むと、TRPG的な解釈で戦国武将を
評するのも面白いです。
あっという間に現代に適応して、文明の利器を
使いこなす信長凄っ。
単に信長が無双する話ではなくて、
自分に自信がなかったコウ太が、信長との出会いで
殻を破っていく展開も、熱いんですよ。
TRPGご存知の方も、全く知らない方もおススメです!
題名、あらすじからは、どうしても「織田信長」という存在との間に、凄まじいギャップを受けましたが、読み進めていくと、「案外、ありなのでは?」と思えるから不思議です。
歴史上の人物として、ありとあらゆる作家、研究者から掘り下げられ、日本で1、2を争う人物である信長ですが、それ故に誰が書いたとしても、現実の信長が頂点に存在し、フィクションとしての面白さが損なわれない存在ではあるのですが、今作、それが一段と色濃くあるため、「アリだ」と感じたのだと思います。
戦国時代の人が現代に来ているのだから当然、戸惑いがあり、それを描いてもいるのですが、それ以上に感じるのは、「常に真剣である」というのが古今東西、人間の活動に於ける基本だと感じさせられるのが、とにかく痛快です。
遊びだからこそ、遊びだけれど、遊びも…色々と言い方はあるのですが、「真剣であるから楽しい」「真剣である事は大切」という事を、説くに強く感じました。
一度は本能寺で死を覚悟した織田信長が、ひょんなことから現代にタイムスリップして
TRPGを楽しむことになるというお話です。
やや短気で何事にも興味を示す傾奇者的な性格はそのままに、しかし一度死の瀬戸際を体験したことと
違う時代へとタイムスリップしたことが契機となっているのか、
苛烈さはなりを潜めており、後世の技術や遊戯への興味を強くしています。
読んでいて「ああ、これこそ織田信長のイメージだよな」という納得感が、
非常に強く感じられ、物語に強く引き込んでくれます。
本来西洋テイストのクトゥルフを、信長に通じるように和風に変えて楽しむ等、
読み手にとっても趣向が面白くなっています。
今後も非常に続きが楽しみな作品の一つです。