交換殺人を持ちかけられた主人公、躊躇っていたら運命が坂道を転がりだして

 難しいなぁ。夜半まで読んでおりました。
 僕は頭が足らず解けませんでしたが、なかなか終わってみるとすっきりと分かりやすいお話でございます。トリックにしっかりフォーカスを当ててスマートにまとめていらっしゃるので、謎解きに専念しやすいかな。推理小説好きな人やこの手のエンタメ好きな人にもっと読んでいただきたいですね。おすすめでございます。

 内容は、いわゆる交換殺人にまきこまれた主人公のお話。
 会社で上司から目を付けられてる主人公。入り浸ってるネットカフェで、裏サイトにグチを書き込んでいたら「だったらそいつを殺さない?」と交換殺人のお誘いを受けてしまう。最初は乗り気じゃなかったんだけれど、憎い相手にいびられて、交換殺人を持ちかけてきた相手もプレッシャーをかけてきて、さらに会社での環境も悪くなり、とどんどん追い詰められていきます。

 そんなこんなでうだうだと悩みつつ、交換殺人の相手を観察していたところ、謎の人物がその男を殺してしまって……。

 これはラッキー?
 それとも被害者の自業自得?
 自分以外にも交換殺人を誰かが持ちかけられてる?

 なんにしても自分の手を汚さずに交換殺人を成立させてしまいます。
 ところが、それだけでもちろん事態は収まるはずもなく、さらには折りも悪く通り魔殺人まで起こりだし、主人公は疑心暗鬼と恐怖の中にたたき落とされていく――というお話。

 なかなか伏線やどんでん返し、小ネタの配置がしっかりしているので、読み返すと「これは!」って気づきが多いかも。じっくり練られた丁寧なミステリですので、ほんと好きな方にはビシッとはまると思います。おすすめです。

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