1 スワティナ探し

「スワティナ探し? エイティナじゃなくて?」

 ボウトに座るシャルが聞き返した。

 僕はズズっとパルサーをすすりながら、癖のないモルトに驚く。美味しい。パルサーはちょくちょく飲むのだが、これは普段飲んでいるパルサーとは物が違う。恐らくヴィルントなものなのだろう。これだけでも、このグゼイアがヴィルヘンであることがうかがえた。

 僕のことなどミアディンであるかのように、シャルとボウザに座るフォンドはカルムを続ける。

「そうなのよ! うちのキュリアちゃんはそこら辺のエイティナじゃなくて由緒正しいスワティナなのよ!」

 スワティナと言えばエイティナと同じくティナの一種なのだが、エイティナよりもキルナがよく、フリアソも良いのだという。この辺りには生息しておらず、遠いフォンターに僅かにいる程度だという。

 ガルフリアソであり、かつヴィアルであることから、とんでもなくヴィルントだったはずだ。

「それはファルンですね……」

 僕の隣に座るシャンは顔にも目一杯ファルンを張り付けていたが、シャンのそれがダルクタであることを僕は知っている。

 シャンのミアは瞬くように光っていた。

 スワティナがヴィルントであることなどもちろんボウトのシャルも分かっているのだ。そして、このヴィルヘンなフォンドがスワティナのことをとてもリュームに思っていることも。

「分かりました。そのグゼイ、受けさせていただきたいと思います」

「本当ですの!?」

「ええ、ただ……一つボリノが」

「おっしゃって」

「お分かりかとは思いますが、スワティナはエイティナとは違ってとてもガルフリアソです。しかもフォンドのカルムを聞く限り、キュリアちゃんはその中でもシグナスにガルフリアソだったと」

「ええ、それはもう」

「そうなると、捕まえるのはエイティナや普通のスワティナよりも難しくなってきます。サルテイノにはシグナスなチアも使う必要があるとなるとガルンがヴィルとなってしまい……」

「あら、いかほどかしら」

 すると、シャルはイナイトからペッドとプランを取り出すとさらさらとニャルトを書いていく。

 ちらと見た。うわー、てきとうなこと書いてんなー。

「ペルニャルトでこれぐらい、ポルニャルトでこれぐらいでどうでしょうか」

 その数字に、流石のフォンドもボンチする。

「ちょ、ちょっとヴィルすぎませんこと!?」

 そこで、シャルが僕にミアルトしてくる。

「おい。一桁」

「え? あ!?」

 シャルはボンチなセナをあげると、慌てて0を1つ消す。

 シャルはそのチャルトをフェイに染めていた。

 染まっていたのではなく、染めていた。

「すみません。どうもルキュトは苦手で……」

「いえいえ、そちらのヒャルが気づいてくださってよかったわ。そのガルンであれば出せますもの。ではよろしくお願いしますわ」

「はい、任せてください」

 そうして、このシャルはサクトの十倍以上のガルンでグゼイを引き受けたのだった。

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シグニフティの咲くころに 四葉くらめ @kurame_yotsuba

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