クーリエ

作者 相葉美人(青猫海葉)

62

24人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

 AIを搭載した宇宙船に乗って、博物館資料を隣の惑星まで移動させるお仕事をする学芸員と、その船員として雇われたバイトの大学生の話です。
 学芸員は変人扱いですが、物語の終盤ではきっと彼は変人なのではないのかもしれない……というか、確かに変人なのだけれども、きっと誰しもが考え付くであろうお仕事的な考えの持ち主なのだと思います。
 ただここでユニークなのが、AIとの関わりです。
 序盤「ははん、こりゃSF作家お得意の戦闘妖精……、もといAIとイチャコラする系なのか?」と思いつつ読み進めると、そうではなかったことに気づきました。浅はかな考えをしていた数分前の自分を殴り殺してロケットエンジンの固体燃料にしてやりたくなりました。
 これはあくまで人の話であり、仕事や物事の考え方の話です。
 そこにちょっとしたSF要素やAIというエッセンス(本質的なモノという意味)が存在することで、わかりやすい構造と物語らしい雰囲気が出ているのです。
 ラスト近くでは、学芸員のセリフからそれが顕著に読み取れます。
 
 とても良質なものを読ませていただきました。

 こう、長々と書いてきましたが私の言いたいことはただ一つです。

 _人人人人人人_
>   てぇてぇ  <
   ̄Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

★★★ Excellent!!!

この物語に出てくるのは、少し変わった「学芸員」と「主人公」と「はるな」。三者三様のとても良い距離感の作品でした。近過ぎず、遠過ぎず、絶妙です。そのある意味他人行儀なところもかえって物語に深みを与えていると感じました。
静かに物語は進み、やがて終着を迎えます。とても読みやすいです。
AIと人の関わり方、及びその考え方や、オートパイロットを使うくだりなんかは、自動運転実装が現実化してきた私達にも関わる話でもあり……。そういった「気になる点」が随所に散りばめられています。
AIに新たな観点で切り込んだ、大変興味深い一作でした。

★★★ Excellent!!!

学芸員が宇宙で輸送を行うというので、参加することとなった主人公。

船の名前は女性名「はるか」なのに、船内アナウンスは男性だし、学芸員は色々おかしいし……。

でも、それは本当におかしいことだったのか。人、社会の関わり方、そんなものが垣間見える旅。読後に、なんだかしっとりとした気持ちになる。そんな物語がなんだか素敵なのです。

★★★ Excellent!!!

宇宙船に乗って、美術品を運ぶ主人公と学芸員。二人の齟齬が決定的になるかと思えばそうでもなく、スキマは埋まることなく埋まっていくように見える。

職業意識を優先させるかと思えばひとり旅が寂しくて主人公を雇った私的な理由を述べる学芸員、彼のなんともつかみどころのなさがこの作品の魅力かもしれない。

主人公はこれより、何度も学芸員と仕事を共にする気もするし、二度と交わらないような予感もする。

不思議な温度感と読後感のある短編です。

★★★ Excellent!!!

>この人の感性と普通の人の感性が相互理解可能になる仕事こそが、学芸員だったのだ。

この一文、その説得力といったらもう!
にやにやとしてしまう作品でした。

ただ、きっとすべての人がそう受け取るわけではないことも承知しています。

この物語は、少なくとも現実の学芸員と仕事をしたことのある私にとって、このセリフほど「学芸員らしさ」を表現しているものはないと思えるものでした。

SF、しかもミュージアム学芸員が登場する作品。
私にとって理想がつまった作品と出会えた喜びに勝るものはありません。

淡々としている中にも密かな萌があります。
学芸員の告白に、それをきちんとキャッチする主人公。

名前は出てこないですが、こういう作品もありだなと思いました。
応援させていただきます!