生きていく義務


「コジョウ、あなたたち二人のその様子からすると、モウ家の妻になるということの、ちゃんとした説明も何もしていないようですね。それでは困ります。

あなた・・・あなたは父として、ちょっとコジョウに甘いのではありませんか? 

ねえサンガ、あなたにしたような厳しさの百分の一も与えていないような気がします」


「ハハハ、奥様、コジョウには今までそうする必要はなかっただけのことです。ですが心身共に大人になったのですから・・・師匠には本格的な修行を実の息子さんにおやりになるのがよろしいでしょうね」


「それは私も大賛成です」


違う方向に進んだ話が、一旦終わったようだったので、リュウリは小さく

「あの・・・」と言うためらいがちな声をあげた。

それを見て、夫人は


「ああ、思い出しました。ラランという聴色師の少女と命色師リュウリの兄弟ですね。そうでしたね、それに・・・ここにいる方のすべての奥様に、今後協力をしていただかないといけないでしょうから。サイサイもちろんあなたも」


「それはお前・・・」と慌てたキリュウも珍しいが


「あなた、何をおっしゃっているんですか? これからの戦いできっとモウ家の色庫は空になります。勝利後はそのために補充をしなければなりません。サンガ、あなたの妻は本当に素晴らしい方だから、きっと私以上の創色師になれますよ」


その言葉にサンガはちょっと苦笑いを浮かべたので、まごまごした感じでコジョウが話し始めた。


「ララン・・・ごめんちゃんと説明していなくて・・・実はモウ家に嫁いだ妻は、子供が成長しきったら、三年ほど、一人きり部屋にこもって色を造らなければいけないんだよ・・・こんな時のために、ずっと続けられてきたことなんだ」


夫人はすぐさまに

「そう言うことなのです。でもどう見てもその間「男が勝手な息抜き」をしているようにしか思えないのですが」


「そんなことをしている暇はない! 」強いキリュウの言葉に夫人はちょっと微笑んで


「それでも三年は長すぎます、私はほぼ四年です、これからは平等に夫婦で一年半ずつと言うのはどうかしらと思うのです」


「でも・・・それでも三年はお互い会えなくなりますから・・・」

ラランが久しぶり口を開いたのを聞いて、夫人は


「そうよね! それはそうだわ! 賢いお嬢さんね、コジョウ」

その言葉に一番ほっとしたのはリュウリだった。

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命色師 リュウリとラランの物語 @nakamichiko

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