泥沼に足を取られそうになりながらも、哀しい顔をしないおじさんに拍手!!

私もつい最近、輝かしいロックスターの半生を描いたこの映画を観てきました。
輝かしく華やかなステージの上と、その裏側の主人公の人生とのコントラストの強烈さに、言葉を失いました。必死に音楽を追求し、自分自身を破壊しかけ、最後の力を振り絞って輝く彼の壮絶な半生には、ただ拍手を送る以外ありませんでした。

この物語は、そんな素晴らしい映画を観に行く「おじさん」の物語です。
人生というものの哀しさ。寂しさ。寒さ。この物語の中で、「おじさん」はその重く醜い部分だけを、たった一人で演じます。

それでも。
周囲からどれだけ冷ややかな視線を受けても、哀しい顔を一切見せることなく、おじさんは前を向いています。
人間の生とは、つまりは苦しみの道を歩くことなのだと。
そんな道を、それでも前を向いて歩くことなのだと。
彼は、そう教えてくれている気がします。

読み終えた後にズシリと心に残る、複雑な余韻。
なんとも独特な空気の中、様々なことを考えさせてくれる物語です。

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