このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(95文字)
開き直った顔をしていても心の中はビクついている。身体は棄てられても心は棄てられない。だから彼女は居場所がないと感じ、救いのない現実に傷つくのでしょう。白けた大人の顔と動じやすい子どもの顔が共存しているような主人公の捨て鉢な語りが痛々しい。最後の展開に驚かされたと同時に、その展開にグサリときました。人が人を見る目とは、結局相対的なものでしかないのでしょうか。社会なんて、どうせこんなもの。主人公の表情が浮かんでくるようなラスト。痛いのに不思議なカタルシスを感じる作品でした。