人並みに、生きる。それが一番難しい。

 短歌のようなウタから始まるエッセイ集。この形式の作品は初めて拝読した。
 作者様の幼少期の闇。辛いこと。本当に胸に刺さる。それを客観的にウタに乗せることは、とても難しいことだと思う。この作品には、思わず目を覆いたくなるものや事、耳をふさぎたくなる言葉がある。作者様はご自分をもぐらに重ねて、書き連ねている。
 子供だから感じること。
 子供の持つ残酷さ。
 成長しても変わらないこと。
 心の陰の部分を嘘偽りなく書かなければ、ここまで他人に伝わらない。
 拝読していて心が、痛かった。

 しかし最後のエッセイで、光が見えた気がした。
 絶望がある。 希望がある。 
 人並みに生きる。それが一番難しくても。

 是非、ご一読ください。

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