第5話 サノバビッチ

さて、わらの妖精に馬退治を頼まれた三蔵と、孫悟空。

あまりのバカバカしさに、思わず突っ込みを入れる三蔵でございましたが…

「いくぞ!サル!」

三蔵は、踵を返し牧場を後にしようとしました。

「助けんでもええんか?」

悟空がぼそりと言いました。

「馬がわら食うて何が悪いんじゃ」

「せやけどお前…」

「ほんなら、なんや?お前、米や豆の妖精が出て来て

『人間に食われて困ります』

 言うたらわしらいちいち相手せなあかんのか?できるかボケ」

「いや、俺は別にええねんけど、

あいつら放っといたらお前永久脱毛やろ?助けた方がええんちゃうの?」

悟空に言われて、三蔵はピシリと石化しました。

 …そうやった…

三蔵は、しばらく目を閉じて考え込んでいましたが

おもむろに顔をあげるとえらそうな口調で命令しました。

「これ、悟空や。あの者たちを救ってやりなさい」

「いやじゃ」

悟空は速攻答えました。

「なんで俺が助けなあかんねん」

それから、悟空は、鼻毛を抜きました。

「お前が助けてやれ言うたんちゃうんかい?」

三蔵が目を剥き出して怒りました。

すると、悟空は

「だって俺別にはげへんもん」

と、鼻くそをほじりながら答えました。

「サノバビーッチ!!」

三蔵が、最近覚えたばかりのハリウッド風の悪態を尽いた時、

「坊さん、助けてくれ~」

「食われる~」

と、わらの妖精達の悲鳴が…

見ると、筋トレを終えた馬達が のどかに飼い葉を食っているのが見えます。

「ああ、あほらし…」

と、いいつつも三蔵は走り出しました。

そして、土を蹴って勢いよくジャンプすると

「三蔵キーック!!」

見事、馬のボディにケリを入れました。

馬は-20HPのダメージ!!

「やったぜ!」

思わず、ガッツポーズをとる三蔵。

その時、またもや天に巨大スクリーンが現れ理事長が登場したのです!

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