第4話 なんで中坊やねん!

さて、仲間が化け物に食われて困っている中学生達の為に

一肌脱ぐ事となった三蔵と孫悟空。

引き連れられてやって来たのは、 「ほのぼの牧場」という名前の牧場でございます。

「俺ら、ここに住んでんねん」

中学生の中の一人が言いました。

「ここって、住めるようなとこないやん」

三蔵は首をかしげました。

確かに、そこには厩舎以外、 人の住めるような建物は見当たりません。

その時、厩舎から、数頭の馬が出て来ました。

「いよいよ来週天皇賞ですな~」

「筋トレしなおさんとね~」

馬達は、そんな話をしながら歩いています。

「うわっ!出た!」

「化けもんや!」

中学生達が叫びました。

「え?化け物?どこに?」

三蔵はあたりをキョロキョロと見回しました。

しかし、化け物の姿などどこにも見えません。

「なんもおれへんやん」

三蔵が言うと

「あれや、あれ」

と、中学生達が指をさしました。

その先では、馬達が筋トレをしています。

それを見て、中学生達は震えています。

「うっわ~」

「えげつな~」

「ホラーや」

「怪奇や」

「あほか!」

三蔵は叫びました。

「あれの何がこわいねん!」

「そうやそうや!」

悟空も言いました。

「馬の筋トレなんか、どこでもよう見かける風景やんけ!」

「いや、どこでもは見かけんけどな」

三蔵はつぶやきました。

すると、中学生が言いました。

「実はな、俺らただの中学生やないねん」

「中学生やないと、馬がこわいンかい」

三蔵は突っ込みました。

「ちゃうちゃう、俺ら実は妖精やねん」

「妖精~?」

三蔵が中学生達をまじまじと見ると

「そうやねん、実は俺らわらの妖精やねん」

と言って、中学生達は『どろん』と音をたてて わらにすがたを変えました。

そこで、三蔵は思いっきり突っ込みました。

「くわれとけ!!」


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