第3話 15才

岩山の下から助け出した孫悟空を弟子にして 西へ西へと旅を続ける、元天界高校不良学生、玄奘三蔵。

目指す天竺は、遥か彼方でございます。

ある日の事でございます。

三蔵と悟空が草原を歩いていると 道ばたに数名の中学生がうずくまって泣いておりました。

「なんや?あいつら」

三蔵が首をかしげると、中学生が二人を見つけて指をさして叫びました。

「あ、坊さんや!」

「ほんまや。坊さんや!坊さんや」

三蔵は、怒りました。

「誰が、坊さんやねん!変なあだ名つけんな!中坊!いじめか!」

「ちがうやろ」

悟空がつぶやきました。

中学生は、2人に駆け寄ると口々に言いました。

「坊さん。おれらの事助けてくれ!」

「悪い化け物が出て来てんねん」

「ごっついえぐいねん」

「みんな食い殺されてんねん」

「やかましわ!」

三蔵が叫びました。

「なんで、わしらがお前ら助けなあかんねん!

 わし、世直し旅やってるんちゃうで!」

「そうや、俺ら罰ゲームやらされてるねん」

悟空が後ろから叫びました。

「違うわ!」

三蔵が突っ込みました。

その時です。

またもや天から光が注ぎ、理事長の声が聞こえます。

「これ三蔵」

三蔵が空を見上げると、空にかかった巨大スクリーンに、

理事長が映っています。

「その者たちを助けてやりなさい。それもあなたの罰ゲームの一環です」

「罰ゲームなんかい!」

三蔵は突っ込みました。

「あのな、理事長。俺が世直しするような爽やかなキャラクーに見えるか?

見えんやろ?そうやろ?ほな、この話なかったことにさしてもらうわ」

三蔵は一人で喋くるとスタスタと歩いて行こうとしました。

すると…

「三蔵!」

と、理事長がアップになって叫びました。

「その者達を見殺しにすればあなたは永久脱毛です!」

「なんやと?」

三蔵は、立ち止まりました。

「そのかわり、助けてやればあなたの髪は少しだけ復活するでしょう」

こうして、三蔵は中学生達を助けてやる事にしたのです。

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