第8話 なんで踊らなあかんねん
「こら、馬! こっち見んかい!」
叫んだ悟空を馬達が一斉に注目します。
「何じゃい、モンチッチ」
「いてまうど、人間もどき」
「死にたいんか猿の惑星」
「じゃかましわ! これが目に入らんかい!」
そういって、悟空が懐から取りだしたのは、なんと…
「それ、俺が夕べ食い残したニンジンやんけ!」
馬達の足の下で三蔵がうめきます。
「に…ん…じ…ん?」
馬達は不思議そうに人参を見つめたました。
「なんや、お前らニンジンも知らんのか?」
悟空は呆れました。
そうです。実はほのぼの牧場は300年程文明が遅れていたので
ニンジンなどというオシャレな食べ物は
まだ、存在していなかったのです。
「ええか、見とれよ」
と、悟空は馬達の目の前で人参をカリッとかじり、
「うわっ!まずっ!」
と言ってペッと吐き出し
「食うてみい」
と馬に手渡したのです。
馬は「なんやねん?」と言いつつ、おそるおそる人参を口に入れました。
その途端、馬達をカルチャーショックが襲います!
「うわお!」
「デリシャース!」
「カリコリとした食感がたまらない!」
「それでいて、まったーり!」
馬達は口々に叫び、悟空に尊敬のまなざしを向け言いました。
「兄貴、これはどこに行ったら手に入りますねん?」
いつの間にか、敬語になっています。
「そうやな…こっから1km東のうさぎのルドルフの家の倉庫に
ぎょうさんあるから、夜中に行って黙ってもらってくるといいわ」
悟空は、泥棒の手引きをしました。
「せやから、もう藁なんてしょうもないもん食うのはよせ」
「分かりましたぁ、兄貴ぃ!」
そう言うと、馬達は悟空を囲み輪になって踊ったという事です。
めでたし、めでたし。
ネオ西遊記 pipi @piccho
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