第6話 殴ってはいけない

わらの妖精に頼まれ、馬と戦う玄奘三蔵。

おかげさまで三蔵キックは、クリティカルヒットするのでした。

…が、

空に広がった巨大スクリーンの中に、またもや

理事長が現れました。

「あのおっさん、ホンマは一緒に来たいんちゃうか?」

悟空がつぶやきました。

理事長はスクリーンの中でアップになると、こう言いました。

「これ、三蔵。無抵抗な動物にケリを入れるとはどう言う事ですか!」

「はぁ?」

三蔵は空を見上げて言いました。

「なに言ってんねん?お前があいつら(わらの妖精)助けろ言うから、

やりたくもない馬退治してるんやで、俺は」

「お黙りなさい!」

理事長は、声を一オクターブ高くして叫びました。

「今、視聴者から苦情が入ったのです」

「視聴者て誰やねん」

三蔵は突っ込みました。

「視聴者は、大事にしたほうがええで」

悟空が三蔵の肩をたたいて言いました。

「だから、視聴者ってだれやねん!」

その時、背後に馬の気配がして振り返ると、

そこにグラサンをかけた金髪の馬のヤンキーが立っていました。

ヤンキー馬は、口をもぐもぐさせながら言いました。

「おい、ハゲ。ようも俺の舎弟を可愛がってくれたな?」

馬は指の関節をバキバキ鳴らしながら言いました。

「そのはげ頭便所に突っ込んで、ケツで掃除道具ガシガシいわしたろかい!」

馬は、ほぼ意味不明な啖呵を切りました。

「はははは。おもろい(←by悟空)」

「なんやと~」

三蔵は、馬を睨み付け言いました。

「誰に向かって物言うとんじゃい!」

しかし、別に誰でも有りません。

「お前に向かって物言うとんじゃ」

馬は小学生のような切り返しをすると、 殴り掛かって来ました。

さっとよける三蔵!

それから三蔵は馬にパンチを浴びせようとしました。

ところが…

「おやめなさい!」

と、理事長の声。

「やめないと永久脱毛ですよ!」

またそれかい!

心の中でつぶやきつつ身動きのとれなくなる三蔵でございました。

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