作者は歴史・伝奇ジャンルで投稿しているが、SFの要素も含んでいる。
しかも、最も料理の難しい(と私は思うけど)時間旅行のテーマに取り組んでいる。しかも美味い、いや巧い。
伝奇物が似合う時代は大正時代。
本作品に限らず、他の作者の投稿作品でも大正時代を舞台とする例を幾つも読んだが、それぞれにシックリ来る。不思議なんだよなぁ。
平成に比べて明らかに科学技術は遅れているのに、現代で未実現の大発明が何故か似合う時代。
この作者を含め、大正時代に取り組んでる方々は文語的な趣きを帯びた口語文が上手い。言葉の醸す異世界観が多少の夢想を糊塗するんだろうなぁ。
兎に角、雰囲気たっぷりの作品です。
しかも、2人のヒロイン達のキャラ設定が良い。2人ともが少女期の反骨精神と、大人の女としての狡猾さを合わせ持つのに、しっかり対照的な人物に仕上がっている。
短編にはMAX2つが信条ですが、星3つ付けました。