虚像の国のアリス

作者 菱河一色

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★★★ Excellent!!!

自分に見えているものは、他人にもそう見えているのか?
普段、人は自分が見えているものは万人共通にそう見えている、と無意識に思い込んでいます。
この作品は、「その思い込みが果たして正しいのか」「人間には共通でそう見えていても、それが真実であるとは限らないのではないか」そんな根本的な人間の認識について考えさせられる作品だったように思えました。
何が本当にあったもので、何が幻想だったのか。実在と幻想の境界が揺らいでいくような、印象的な作品でした。

★★★ Excellent!!!

 もし自分が物語の中にいたら、そうとしか言い様がないだろう、と思わされる物語です。

 文章のよいところは、自分の好きなキャスティング、好きなロケーション、好きなBGMを頭の中に浮かべられる事だと思っている私は、序盤から中盤にかけ、不思議とBGMが浮かびませんでした。

 不思議な読書感、決して不快ではない感覚のまま読み進め、終盤にさしかかる瞬間のショックときたら、言い表そうとするのももどかしい、鮮烈なものでした。

 これこそが私が文字に求めていたエンターテインメントです。

 スクロールさせるのも面倒になるくらい、読む方にだけ自分の五感を使いたいと思ってしまう怒濤の展開です。

 現実と幻想が曖昧だった前半に比べ、これでもかと現実が迫り、容赦なく読者を駆り立てるでしょう。

 少なくとも私は、震えるほど引き込まれました。たかだか5インチ程度のスマートフォンの画面が巨大に見えるほどに。60インチ4K? 映画館? VR? いやいや、そんなものではありません。

 …何だ、私もアリスになってしまっただけですか…。

★★★ Excellent!!!

アリス症候群、初めて聞きました。
そんな病気があるんですね。

それでも、みんながアリスになってしまう。
それはみんながアリス症候群になってしまったのか、それとも……

短いながらに、ファンタジーとホラーが混ざったお話。
読みやすく、かつ読者を引き込ませる力は、圧倒的でした。

素敵なお話、有難うございました。

★★ Very Good!!

蚊や蜂など身近な虫が巨大化して見える語り手の、緊迫した視点描写がとてもリアルといいますか、ガチガチに冷えて固まった空気が伝わってくるといいますか、つい見入ってしまいます。
主人公達がこの後どうなったのか、色々と思いを馳せてしまう(良い意味で)後味の悪いラストでした!

★★ Very Good!!

相手の姿を捉える時、私たちは当たり前のように相手を見る。
見ることで、その大きさや存在を感じることができる。
見えている世界が歪んでいれば、視覚のある者にとって世界は歪む。
本当の恐怖は、歪む世界の認識に世界の方が合わせてくる時だ。
神のような力。しかしその力はあまりに理不尽で……。

★★★ Excellent!!!

不思議の国のアリス症候群という実在する病気からうまく歪な世界を作り上げていてゾッとしました。最初は不可思議な異常に恐怖しましたが、徐々に現実的な問題になり、しかし理由が分かったので安堵したかと思いきや……ラストの展開。
お話の流れが巧みで、まさに『アリス』をうまく利用した書き方には脱帽です。サブタイトルを含み、ぞわぞわしました。
世界が呑み込まれていく様は、是非に御自分の目で確認してください。
そして読み終わった後、自分が『アリス』になっていないかどうか、確認したほうが良いかもしれませんね。

★★★ Excellent!!!

そういえば小学生くらいの時、不思議の国のアリス症候群みたいになってた時期が自分にもあった。当時はそんな名前がついた現象?だなんて知らなかったんだけども。ちなみに私の場合は自室で寝ているときなどに、自分の体が急に部屋にぎゅうぎゅうに詰め込まれているように感じるくらい大きくなった、あるいは部屋が小さくなったように感じるという症状だったんですが、まあそんなことをうすらぼんやりと考えながら読んでいたら……!

★★ Very Good!!

物語冒頭からエグみのある表現がありましたが、ラストでそれが炸裂した感じです。鳥肌が立って、思わず文字を追うペースが早くなりました。
願わくば、主人公がラストの状況からいかに生き残るか、そして病気の正体が何だったのかを明かした続編が見て見たいです。

パニック物の話が好きならオススメ。逆に昆虫やグロテスクな表現が苦手な方は、ご注意を。