余韻すら残さぬ簡潔な完結こそ、この作品のシニカルな醍醐味

 ひとつ、間違えればあり得る話だ、というのがポイントだろうか。「非実在~」なる言葉も産まれ出でてくる現実社会に照らし合わせるならば、そのリアルさは決して大きな笑いを与えてくれるものではない。

 キャラクターを管理するディストピアめいた社会を描きつつ、シニカルな人間模様も織り込まれ、余韻すら残さぬ簡潔な完結に、少々面食らってしまったことを白状しよう。
 ここにこそ、この作品の醍醐味が込められてもいるわけだが。

 カク側としては、ご免被りたい中身である。
 故に、裁く者、裁かれる者、その顛末に、拍手を贈りたい気分だ。

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