まさにこれぞハイファンタジー!と思わせる内容です。特に地の文の語りがとても印象強く幻想的で立派な描写でした。人と竜の関係性から翻弄される主人公達。彼らの行き着く先は何が待っているのでしょう?
心理描写や風景描写などの表現の仕方は目に見張るものがある。地の文や会話文もテンポが良く、とても読みやすい。それに加え、濃密な世界観や設定があるので時間を忘れて物語の世界に没入する事が出来た。人間でも国籍が違えば分かり合えない事も多い。竜族と人間であれば種族が違う。その壁を払うのは容易ではない。だが、それを変えてくれるという事を彼等に期待したいと思う。こういう作品が書籍化されるんだろうなぁ。
ファンタジーの上手下手を左右するのは、その世界観の構築と、それを読者にいかに伝えていくか、です。この小説は、そのどちらも兼ね備えています。これほど優れたファンタジー小説を読めることは、幸運というほかないでしょう。舞台は異世界であり、主人公たちは「竜族」と呼ばれる人間とは別種の存在ですが、私たちと同じように感情があり、日々の営みのなかで生きています。ゆえに、一人一人の行動や感情が、あたかも友人の一人のもののように感じられます。