竜と人が奏でる、やさしい御伽話
- ★★★ Excellent!!!
竜から生まれた人の子は、ティリーアと名付けられる。
それは、涙の泉という悲しみの意を秘めていた。
時を司る竜の力を持つ竜の子、アスラには大好きな姉がいる。
だけど、その姉は竜の両親から生まれたはずであるにも関わらず、人の身体を持っており、そのことから村の民から敬遠されていた。
それでも彼は、姉を慕い、その理不尽に心から憤っていた。
そんな彼の村に、二人の竜が訪れる。
やさしく、そして、力強く、未来を見据える二人の竜との出会いは、姉弟の運命を変えていく――。
星の欠片を集めて編んだような、幻想的な世界観。
春の日差しのような柔らかい文章と描写で、全てが優しく包み込まれる。
突き刺さるような、今という逆境に、彼らは負けずに未来を思い描いていく。
これは、竜と人が描く、歴史であり。
過去であり、現在であり、未来である。
やさしい、彼らの想いを見届けよ。