黒猫が三毛猫に変わったりはしないはずなのだが……


 主人公が電車に乗ると、駅から見えるマンションのドアの前で美しい女性が手を振ってくれる。
 そして、もうひとつ。駅の近くでたまに見かける黒猫には、なぜか「三毛猫」のタグ。

 これはいったい、どういうことなのだろう?

 日常の風景と、そこにあるちょっとした謎。主人公の学生時代のささいな事件。そして、小さな棘が刺さったような後悔。
 そんなものが淡々と描かれているのですが、ついつい先へ先へと読んでしまいます。

 そして、ラスト。すべてのピースがパチリと嵌り、一気に謎が解けたとき。まるで、じとじと降り続いた雨があがって、スカっと空が晴れ渡ったような爽快感です。

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