第396話名

 正直こいつが何時の時代のなになのかはなんとく想像がつく。アリアの知識の中に近い物がある。あくまで最初の爆発を防いだ時の術式とスキルでの想像にすぎないのだが。名前を付ける為の連想としては十分だ。


「今日からお前の名前はアルス・ノワールだ。想像と願望の篭った名前だが何分センスがなくてね、これで勘弁してくれ」



「アルスってのはなんとなく想像がつく。兄さんノワールってのはどういう意味なんだい?」


「黒だな」


「大まかには合ってるんじゃないか? まぁ俺はあの影男の所で少しばかり共に肩を並べて研鑽しただけだ。残念ながらその途中で死んだ半端物さ、いい名前をありがとう。気に入ったよ」


「喜んで貰えたようでなにより。そっちの同僚とやらはどんな奴なんだ? 直感で適当につけてもいいが、多少情報がある方が付け易い」



「こいつは。一言で言えば馬鹿だよ。癒し手だ、だれかれ構わず癒してればそりゃそれを目障りに思う連中が出てくる。俺が聞いたのはそこまでだ。だが、想像はつく結局今の姿の延長上の末路だろうよ」


 だろうな。どうせ宗教関連だろなぁ。そうなると名前はジ・・・あれはまたジャンルが違うな。末路はほぼ同じだろうがというかこの情報で名前をつけるのはあまり気が進まない。


「ブラン・ソレイユとしようかね。まぁアルスの対みたいなもんだ。これからもアルスと共にいる事になるだろうしいいだろ?」


「了解だ。丁度人も来たみたいだ」


 3回ノックが部屋に響く。


「入れ」


 俺が買った『元』奴隷の二人リズとマインだ。元々見目はそこそこ良かったが、多分リーシャさんの差し金だろう。化粧と服装で一段上の見目の良さになっている。


「よお久しぶりだね御主人。今日こそ私を抱きにきたのかい?」



「駄目だよダイスさんにそんな事言っちゃ」


「折角の魅力的なお誘いだが、急な仕事を頼みたい。当然対価も出そう。ゴブリンに襲われた女性を保護して傷を癒した所まではいいのだが、紳士たるものいたいけな女性の肌を見るわけにもいかず。どう身奇麗にするか途方に暮れたいたんだ。そこでお前たちに頼みに来た訳だ」



「ゴブリンに・・・わかった私たちが最高の状態にしてあげる。マインこのこ子を連れて仕事場に戻るよ」


 アルスからそっと受け取ると割れ物を扱うようにそっと。しかし素早く部屋をでていった。お姫様だっこで、実に男らしい。女性だが。




「兄さん気持ちのいい姐さんたちだな」


「それは良かったな。少しばかり時間も掛かる。休むとしよう」






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ステータス表示など、創作の中だけにしてくれと思ってた時がありました サン・セバスチャン @san123

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ