2015年の旅 第4弾 8月28日~8月30日 新潟:清津峡・松之山温泉・糸魚川旅行

2015年の旅 第4弾 8月28日~8月30日 新潟:清津峡・松之山温泉・糸魚川旅行

~概要~


日本三大○○というフレーズをよく耳にする。

日本三景・日本三大温泉・日本三大花火大会・日本三大庭園・日本三大夜景などなど。何かと3トップを列挙した物があるが、それは比較的有名な温泉や景勝地などからかなり細かい事項にまで設定されている。

日本三大峡谷・日本三大薬湯・日本三大朝市・日本三大鉄道駅・日本三大車窓。他にも多々あり。

意外と日本三大は多いのだ。


今回、日本三大薬湯の一つである新潟県の松之山温泉へ行ってみようかと考え、周辺の観光情報を調べてみると、松之山温泉の近くに日本三大渓谷の一つである清津峡があった。この清津峡だが、地質学的にも珍妙な峡谷なようで、地質学に興味を持つ者としては是非とも一度訪れてみたい場所だと感じた。

ということで、清津峡をはじめとした日本三大を巡りながら、新潟県の鉄道に乗りながら糸魚川ジオパークへ向かい、こちらも以前から一度訪れてみたいと思っていたフォッサマグナミュージアムへ行く計画を立てた。


具体的には、一日目に清津峡や松之山温泉を自家用車で回り、二日目は鉄道移動主体で北越急行ほくほく線のイベント列車ゆめぞら号に乗車しながら西へ向かい、今年3月に開業した北陸新幹線にも体験的に乗車して糸魚川へ行き、フォッサマグナミュージアムを見学するというもの。

したがって、今回の旅のテーマは日本三大を巡ると同時に、清津峡やフォッサマグナミュージアムなどの地質学的に大きな関連のある景勝地や施設を回ることとなった。


出発は28日金曜日の夜。

仕事終わりから直接新潟県長岡へ向かい、現地で大学時代の友達と合流、翌朝から観光するようにした。



~出発・新潟入り~


28日金曜日

通常通り朝から職場へ出向き、普通に仕事をし、夜18時半に仕事を終えて退勤する。

職場から新潟県長岡へ向けて出発した。

東京駅から上越新幹線に乗って長岡へ向かう、至って普通なコースである。

職場のある駒沢から東京駅へのアクセスは幾つかあるが、今回は目黒通りを走る東急バスで向かうことにした。

東急バス東98系統は東京駅丸ノ内南口から経済産業省・東京タワー・慶応義塾大学前・白金台駅・目黒駅・都立大学駅を経由して東急大井町線の等々力駅の先にある東急バスの車庫 等々力操車所まで運転している。全区間が均一運賃区間内に入っているため¥220で乗れるので、都立大学駅付近から東京駅までの運賃が最も安い交通機関になる。もちろんバスなので電車に比べて定時性に弱いところがあるが、仕事上何度か乗っているがあまり時間が遅れないのだ。特定の途中のバス停で時間調整できるようになっているので、例え遅れても回復が容易なダイヤグラム設定になっているようだ。

中根町という都立大学駅の一つ手前のバス停から東京駅南口行きのバスに乗り込んだ。


中根町18:54

東急バス東98系統東京駅南口

東京駅南口19:39着予定


中根町で乗車したときは遅れ1分ほど。目黒駅では定時出発になり、山手線の内側をずんずんと進む。やはり山手線の内側はそれなりに交通量が多い。東京駅南口には6分ほど遅れて到着したが、元々10~15分は遅れるだろうと予想して行動していたものだから意外と早く着いたと感じるほどだった。

面倒な乗り換えもなく、東京駅の入口のすぐ横に降ろしてくれるので、大きな荷物があるときはバスで東京駅に向かうのも悪くないと感じた。

特にこのところ東急の電車は何かと止まることが多く、事前に時刻を調べた際に田園都市線遅延といった情報もあったので、乗らないことにしたのだ。


リニューアル後の東京駅の丸ノ内改札に来たのは初めてだ。田舎から上京したての若者のように、駅舎の中の様子をカメラに収めていた。ちなみに、東京駅も日本三大であり、日本三大鉄道駅の一つである。

新幹線に乗るまでの時間は30分ほど余裕があったので、長岡の友達へのお土産や夕飯としてお弁当を見て回る時間に充てた。


さて、今回乗り込む新幹線は上越新幹線Maxとき347号新潟行。

この列車は各停タイプの新幹線で、途中にある駅という駅にはもれなく全て停車していく。そのため、速達タイプのとき号に比べると30分くらい所要時間が長い。

せっかくなので、この際グリーン車にしてのんびりしながら長岡へ向かうことにした。えきねっとであらかじめ指定席券予約すると、中には10~15㌫程度運賃と特急券を割り引いてくれるサービスがあり、この専用の割引を受けると普通車指定席の通常額と¥600くらいしか変わらなくなり、30分余分に乗っていることも考慮に入れると気になるはどの差額でもないと考えたためだ。

ということで、新幹線のグリーン車乗車初体験をした。一昔前まではウェルカムドリンクのサービスがあったが、今ではグランクラスのみの特典となってしまった。ただ、シートピッチはかなり広く、リクライニングも深い。通常の指定席と違い、他に同乗する乗客も少ないので車内は非常に静かで快適であった。

何より周りをあまり気にせずにお弁当を頂けたことは良かった。

そのお弁当だが、今回はエキュート東京内に出店しているつばめグリルのハンブルクステーキ弁当とロールキャベツにした。ロールキャベツは購入時に温めてくれるサービスがあるので温めてもらい、やさしい味付けでホッとするコンソメスープと味がよく染み込んだロールキャベツを頂きながら、これまたホッとするようなどこか懐かしい味のデミグラスソースのハンバーグに舌鼓を打った。


東京20:24

上越新幹線Maxとき347号新潟行

15号車2F 23A席

長岡22:20着


定刻通りに長岡駅へ到着し、友達とも合流した。

お互いの近況報告などをしながら談笑していたが、翌朝の出発時間のこともあり、0時過ぎには寝入っていた。



~日本三大峡谷 清津峡~


29日土曜日

8時過ぎに長岡の友達の家を出発し、車に乗って南下した。

信濃川に沿うように上流に向かって進み、十日町を通過、越後田沢駅付近から国道353号を越後湯沢方面に進んだ。清津川の両岸の河岸段丘の上の田んぼの稲穂の黄緑色が鮮やかで綺麗な中を進む。段丘上の集落と川沿いの集落を隈無く結ぶように作られた道路のようで、所々でアップダウンの激しい道路だ。

やがて清津峡を示す案内板が現れ、右折して集落に下りて行き、清津川の脇を進むと清津峡の駐車場に至った。


ここまでの所要時間は一時間少々。予想よりも30分ほど早く着いた。

しかし、車の外は結構激しい雨…。

車から出るのも躊躇う雨足に、二人して携帯で雨雲レーダーを表示させて睨めっこ😅

ただ、30分ほど待っていれば雨足が弱まり、やがて雨が止むような感じだったので、しばらく車内待機。

その予測通り、次第に雨足が弱まり始め、9:50に清津峡へ向けて歩き出した。


清津峡入口の小さな温泉郷を通り(写真1)、奥にある清津峡渓谷トンネルへ向かう(写真2)。このトンネルの入口から清津川上流方向を眺めるだけでも綺麗な渓谷美を拝めるが、この渓谷の真の魅力はこのトンネルの先にある。


この清津峡渓谷トンネルは、清津峡の遊歩道用に整備されたトンネルで、4ヶ所のポイントから清津峡の雄大な渓谷美を眺めることができる。

トンネルに入り、奥へと進む。中には清津峡の魅力を紹介する動画の放映や、清津峡の動物や植物の紹介、清津峡の成り立ちについて説明したパネルが展示されていたほか、ブラックライトで発行する石を天井に設置して光らせた場所もあった。


そして、いよいよ清津峡の渓谷へ。

両岸を切り立った崖の底を轟々と流れる渓流。その崖には、縦方向に揃った柱状の岩が集まったような構造が見て取れる。

これは柱状節理(ちゅうじょうせつり)という形状で、溶岩が急激に冷やされて固められると形成される構造で、清津峡が日本三大峡谷に指定された理由がこの柱状節理が豊富に見られる地質学的にも珍しい渓谷であることだからなのだとか。

確かに両岸を洗濯板のようなギザギザした表面の峡谷は、他ではあまり見掛けないように感じる。


自然の造形の力強さと美しさ、奇妙さを一挙に感じながら、それでいて荘厳な空間に、ホッと息を呑んでいた。



~田代の七ツ釜と大地の芸術祭~


最初の目的地だった清津峡を後にして、次に向かった先は田代の七ツ釜だ。

ここも自然の景勝地だ。

清津峡から40分ほど車を走らせた。清津峡と山一つ隔てた所にある渓谷の滝であり、七ツ釜というだけあって滝壺が7つある。


駐車場から遊歩道が続いており、どうやら川沿いへと崖を下ったようだった。とにかく下って下って下がりまくり、川面が見えたとき、通行止めの看板が!?

滝壺への遊歩道は閉鎖されていた…

しかし、遠くではあったが滝壺の様子は見れたので、一番滝の様子を眺めた。豊富な流量の滝の下に、また別の滝が続いている。その両岸にも柱状節理の崖があり、厳かな雰囲気を留めている。近寄れなかったこともあるが、人を寄せ付けない神秘的な力が籠もった場所のようにさえ感じられた。


駐車場へ戻り、向かい側のキャンプ場へ行ってみた。友達がキャンプにハマっていることも然り、ちょうど十日町エリアで開催されていた大地の芸術祭の作品があることも然りだ。

大地の芸術祭とは、十日町市を中心に里山がアートに大変身をコンセプトに、市内の各所に自然やその土地の暮らしを取り入れたアート作品を展示する3年に一度の芸術祭だ。

ここの田代の七ツ釜にも作品があり、スネークパスという山道に沿って大蛇がいるような作品になっている。

この作品の蛇には由来がある。というのも田代の七ツ釜には大蛇が潜むという伝説があり、村人と弁天様の間でこの滝壺に投げ網をしてはならないという約束をしていたが、あるとき男が約束を破って投げ網をしたところ大蛇の怒りを買い、その男を家ごと締め上げて殺したという話に因む。

確かに、大蛇が棲んでいても違和感なさそうな雰囲気の滝壺だったが…🐍


田代の七ツ釜を後にして、松之山温泉方面へと向かう。

その途中の津南駅付近にある ぐるめかん大勝で昼食にした。この店は豆腐料理が名物らしく豆腐ステーキや豆腐重といった豆腐料理が多い。

豆腐ステーキは出汁の味がしっかり付いており、白米と一緒に食べたい感じだ。また、豆腐重とは表面を卵液に漬けてから焼いたものをゴボウなどと共に煮て卵でとじたものをご飯の上に乗せたもの。柔らかな豆腐と出汁が染みた卵がとにかくよく合い、ご飯が進む。今まで豆腐はご飯のおかずにはあまり合わないと思っていたが、この料理の仕方であればそんな概念も簡単に拭い去ることができるほど、豆腐の魅力を大いに感じた昼食となったのは嬉しいものだった。



~ブナ原生林の森 美人林~


松之山温泉へ向かう道中、松之山地区の入口辺りに位置する美人林へ立ち寄った。


ここは樹齢90年ほどのブナ林が生い茂る森で、その立ち姿があまりにも美しいことから美人林と呼ばれるようになったという。

確かに、ブナ林は木肌が白っぽく、細身でスラッとしたシルエットで、女性的な美しさがある。


対比として、美人林の外れにあった杉林を見てみる。木肌はザラッとして色黒であり、無骨な感じはどちらかと言うと男性的な力強さがある感じだ。


このブナ林の中は周りよりも2度程度気温が低いらしい。ただ、この日は元々気温は高くなく、少なくとも暑さは感じていなかったのでその差は肌で感じることはできなかった。


しかし、美しい木々の中を歩くと心が洗われるような気分になる。

また、森に向けてかなりの枚数の写真を撮影しており、これほどたくさんの木の写真を撮ったのは初めてな気がした。その一部を添付しておく。

気持ちが癒された美人林だった。



~日本三大薬湯:松之山温泉 と、大地の芸術祭?!~


松之山地区の中心街へ向かう途中に、ナステビュウ湯の山という日帰り温泉施設がある。

ここは松之山温泉の一つである湯坂源泉を使用した温泉で、源泉95度のナトリウム・カルシウム・塩化物泉である。

松之山温泉の特徴としては、塩分濃度が濃いことで、太平洋戦争中はこの温泉から塩を取っていたのだとか。温泉中のホウ酸含有量が日本一だということで、日本三大薬湯の一つになっている。

ちなみに、残る二つの薬湯は群馬県の草津温泉と兵庫県の有馬温泉だ。草津温泉と有馬温泉は日本三大名泉でもあり、そのような温泉の大御所と肩を並べる泉質を誇っている由緒ある温泉だ。


ここの温泉はお土産用にも販売されており、肌に良いためスプレーして汗疹などの皮膚疾患部に塗布すれば改善が期待出来るのだとか。


そんな松之山温泉の薬湯に浸ると、強い塩分の為か湯船に触れた瞬間はピリッとした肌触りを感じた!

湯気にも塩分が残っているのか、なんとなく口の周りがしょっぱい。源泉掛け流しだったが、熱いために直接源泉を触ることが出来ず、味見はできなかったが、かなりの塩味であることは間違いなさそうな感じだ。



温泉から上がり、建物の外で炭酸を飲みながら湯冷まししていると、変わった物を積んだ自家用車を見つけた。長い木の幹が突き出しているように見える。

始めは背後の看板と重なっていてただの温泉の看板のモニュメントか何かかと思っていたが、よく見ると自家用車の屋根に取り付けられてるではありませんか?!

用途は知らないが変わった物を運ぶ人がいるもんだと感じつつ、そのときはそれ以上何も思わなかった。


程よく身体が冷めてきた所で長岡へ向けて帰還 しようとしたときだった。

なんと、あの変わった物を乗せた車が同じタイミングで出庫し、同じ方向へと曲がろうとしているではありませんか!

これは一緒に付いていかない手はない! 進路を先に譲り、“変わった物”を乗せた自家用車を追いかけ続ける😁


“変わった物”はものすごい注目の的になっていた。沿道を歩いていた老眼鏡を掛けたおじいちゃんが“変わった物”に気がつくととっさに老眼鏡を取って“変わった物”を再確認して、「えっ?! 何?」という言葉が聞こえてきそうなリアクションをしていたのだ。その他にも消防署の前で作業していた消防士さん4、5人も作業の手が止まり、“変わった物”に視線を奪われていた。

そんな滑稽な様子を後ろから眺められる特等席を頂いた訳だ。友達と二人してしばらく笑いが止まらなくなっていた。


いったいどこへ運ぶつもりなのか?

何のために使うのか?

そもそも何故そんな物を自家用車で運ばないといけないのか?

その木は何か特別な物なのか?

足立ナンバーの車だから、このまま関越道入って越境して関東へ行き、東京まで運んで行くのだろうか?


そんな話で盛り上がっていた。しかし、見事な孤を描いた幹なことだ。まるで車が角を得たような感じだ。

しかし、10分くらい一緒に走っていたが、その“変わった物”を取り付けた車は途中のコメリ(農業用具専門のコンビニのような店)へ入ってしまい、面白可笑しな自家用車との珍道中は終わった。


結局その日はあの“変わった物”を何のために運んでいたのかわからずに終わった。



しかし…


まさかこんなところで再会するとは、思ってもみないことだった…


そのときとは翌日、ほくほく線に乗車中のことだった。

電車がまつだい駅に着いたとき、その“変わった物”を取り付けた自家用車を発見したのだ。それも、やけに急な傾斜に取り付けられながら。

これも大地の芸術祭の作品だったのだろうか?


それは今でも謎である。が、あえて謎のままの方が面白いまま記憶に残りそうだ😁



~ほくほく線ゆめぞら号と北陸新幹線~


30日日曜日

この日は、主に鉄道移動になる。

そのため、新潟県内のほぼ全域のJR東日本線と北越急行ほくほく線・えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン・日本海ひすいラインが2日間普通列車に限って乗り降り自由になる「えちごツーデーパス」を使うことにした。

8時半に長岡の友達の家を出発し、車で関越道を南下。六日町ICで高速道を下りて下道で越後湯沢駅を目指した。

この越後湯沢駅から先は鉄道旅になる。

越後湯沢駅からは、ほくほく線で直江津駅へ向かうが、このときの列車はほくほく線のイベント列車で日本初のシアタートレインであるゆめぞら号だ。この車両にはプロジェクターが装備されており、トンネル区間が全線の8割ほどを占めるほくほく線内の長大トンネル内で映像を天井へ投影することができるようになっている。

10:38に越後湯沢駅を発車し、JR 上越線内を六日町へと向かう。六日町から先のほくほく線内では、土休日のみだがトンネル内で映像の上映が実施される。

具体的な上映場所は、魚沼丘陵駅ーしんざ駅間の赤倉トンネル内・十日町駅ーまつだい駅間の薬師峠トンネル~松代トンネル内・まつだい駅ーほくほく大島駅間の鍋立山トンネル内・ほくほく大島駅ー虫川大杉駅間の深沢/霧ヶ岳トンネル内・うらがわら駅ー大池いこいの森駅間の飯室トンネル内である。季節ごとに違う種類の映像を流し、全5種類の映像が用意されている。今回上映された映像は、海中編であった。車両の端から端まで泳ぐ魚や鯨やペンギン、さらにはサメや人魚まで登場する。

トンネル区間ごとに完結する映像が計5回上映されるため、退屈せずに乗車することができた。

現行ダイヤでは、土休日の越後湯沢10:38発の直江津行・直江津8:16発の越後湯沢行と12:12発の六日町行の3便がゆめぞら号で運転される。


ちなみに、ほくほく線を走るゆめぞら号には、ゆめぞら号と共にゆめぞら号Ⅱが在籍しており、どちらが運用されるかはそのときにならないとわからない。また、ゆめぞら号については2両編成の直江津側の車両と越後湯沢側の車両とで投影方法が異なる。今回乗車した車両は越後湯沢側の車両で、こちらでは天井全体が一体となったスクリーンとして映像を映し出していたが、直江津側の車両ではブラックライトでバックを映し出した中に3ヶ所で映像を流すという仕組みになっている。一方ゆめぞら号Ⅱでは両方の車両ともに天井全体に投影するタイプになっている。

ゆめぞら号とゆめぞら号Ⅱの見分け方は、車両前方の表示板が“ゆめぞら”か“ゆめぞらⅡ”かの違いのほか、2両編成の連結部分に運転台が付いてるタイプがゆめぞら号Ⅱで、運転台が無いタイプがゆめぞら号だ。


越後湯沢10:38

ほくほく線直江津行

直江津11:57着


直江津駅に到着後は、今年3月の北陸新幹線開業による並行在来線の経営分離によって第三セクターに変わったえちごトキめき鉄道妙高はねうまラインに乗り込み、北陸新幹線の停車駅の上越妙高駅を目指した。


直江津12:12

妙高はねうまライン妙高高原行

上越妙高12:29着


妙高はねうまラインを走る車両だが、これは元々JR東日本の新潟付近で運用されていたE127系という車両で、えちごトキめき鉄道の誕生に際してJR側から譲渡されたもの。JRから送られてきた日が開業日の2、3日前だったためか、開業からしばらくの間はJRマークが付けっぱなしになっており、今年3月末に訪れたときはJRマークを付けた車両ばかりだった。ところが、開業から半年近く経った今ではJRマークは剥がされ、えちごトキめき鉄道のロゴが貼られていた。

上越妙高駅から北陸新幹線はくたか号に乗って隣の駅である糸魚川駅まで乗車する。

まさに一駅区間だけの体験乗車のような感じだ。

小さな町の中に出来上がった重厚かつ大きな駅舎は、なんとなく周りの景色から浮き上がってしまったかのような印象で、それまでののんびりとしたローカルなイメージとは一変、急に都会的な駅に来てしまった感じだ。

まだ目新しく渋い印象の北陸新幹線用車両E7系に乗り込み、長いトンネルを越えると、そこは日本海を一望できる糸魚川の町だった。


上越妙高12:55

北陸新幹線はくたか金沢行

↓ ¥1530

糸魚川13:08着


糸魚川駅からはバスに乗って目的地のフォッサマグナミュージアムへ行った。


糸魚川駅アルプス口13:30

美山公園博物館線糸魚川駅アルプス口行

↓ ¥100

フォッサマグナミュージアム13:40着


駅前を発車してから間もなくバスは上り坂をどんどん登りだし、みるみるうちに糸魚川の街を眺めることができるようになっていった。糸魚川の街は、海側に広がったわずかな平地に都市が形成され、駅周辺の平地を囲むようにすぐ山が迫っていたのだ。

フォッサマグナミュージアムは、そんな山の入口に広がる美山公園の一角に立地していた。



~フォッサマグナミュージアム見学~


フォッサマグナミュージアムへ入館し、中の展示場を見学した。

フォッサマグナとは、日本列島を分断していたかつての海が堆積物によって陸地化した領域のことを示す。


太古の日本列島はユーラシア大陸に近接していたが、プレートの沈み込みによって溶け出したマグマが大陸側のプレートを押し広げ、その結果日本列島とユーラシア大陸の間が引き裂かれていき、日本海が形成された。しかし、日本近海には南海トラフと日本海溝という向きの異なる二つのプレートの沈み込み帯があり、この向きの違いによって日本列島は真っ二つに分断され、日本海と太平洋を繋ぐ海峡が出来上がった。この海峡にも当然川から運ばれてきた砂や泥などが堆積するため、長い年月の間に堆積物が溜まって海底が上昇していく。それと同時に、フィリピン海プレートが伊豆半島になる島を伴って日本に進んできた結果伊豆半島が海峡南部に衝突、これによって海峡が隆起し始め、海底の堆積物が陸地化した。この隆起して陸地化した元々の海峡だった場所がフォッサマグナと呼ばれる場所である。

地質学的にはフォッサマグナを境に西側を西南日本、東側を東北日本と呼ぶ。西南日本の東端が、糸魚川の親不知から静岡まで続く糸魚川静岡構造線であり、太古の西南日本の海岸線だった場所である。この線を境に地層が変わるため、断層となって地震の発生が懸念されている地域でもある。

一方東北日本側の構造線についてはまだはっきりとはしていないものの、概ね新潟県の新発田から魚沼市の小出を結ぶ新発田小出構造線と、新潟県柏崎から関東平野を横断して千葉に至る柏崎千葉構造線が東北日本の西端とされている。

また、海底時代の海水が地下のマグマによって蒸発することで水蒸気爆発を伴う火山群が多く分布しており、新潟焼岳・妙高山・草津白根山・浅間山・八ヶ岳・富士山・箱根山・天城山などの有名な火山がフォッサマグナ上に存在する。


このような地学的な知見がわかりやすく解説されていた。フォッサマグナの形成から地震や火山のこと、さらには糸魚川名産のひすいの科学的知見について、鉱物化学の観点から詳しく解説されていた。

最後はひすいを含めた鉱石の標本の展示があり、紫水晶をはじめとする宝石の類も並んでおり、美しい鉱石に目にも楽しい博物館であった。


15:40発の糸魚川駅行きの最終バスに乗る予定であったため、やや足早に見学コースを回ってしまったが、2時間あれば隅々まで見られる感じだ。かつて国立科学博物館で全体の半分を見るのに6時間も掛けてしまったことを思うと、テーマがフォッサマグナとひすいに限られているフォッサマグナミュージアムは多すぎず浅すぎず手頃な見学コースだったように思う。


フォッサマグナミュージアム15:40

美山公園博物館線糸魚川駅アルプス口行

↓ ¥100

糸魚川駅アルプス口15:51着



~ほくほく線超快速からスマート新幹線アクセス~


糸魚川駅に戻ってきてからは、糸魚川駅に併設されている糸魚川ジオステーション ジオパルという施設に寄ってきた。

この施設は糸魚川周辺の糸魚川静岡構造線に因む景勝地や観光スポットの案内所であるとともに、鉄道模型のジオラマの展示や大糸線旧型車両キハ52形の静態保存などがなされている。

キハ52形一両が建物の中に納められており、車内は休憩室として自由に出入り可能となっている。実家が新潟のローカル線沿線に位置する友達にとっては、この車両の車内の雰囲気は実家近くを走っている列車の車内を彷彿とさせたようで、とても懐かしそうに車内を眺めていたのが印象的だった。

ちなみにこの車両、今でもきちんと線路の上に止まっている。この線路はそのまま建物の外にある駅前広場へと続いており、イベント等がある際は動力車に引かれて駅前広場へ展示されることもあるのだとか。

その駅前広場だが、ここにはレンガ造りの三連アーチがある。

このレンガのアーチだが、元は糸魚川駅機関車庫一号という1912年に造られた総レンガ造りの建物の一部を切り取り移築したものであり、正面から見るとキハ52形がレンガ車庫の中に格納されているようになっている。

1966年製造の気動車と1912年製のレンガ車庫の貴重な文化財を保存し、そばで見られるように展示されているので、鉄道ファンには嬉しいものだ。


キハ52形の展示フロアの奥にはジオラマの展示場になっており、ここではNゲージやHOゲージの鉄道模型のレイアウトが展示されている。

有料ではあるが、模型列車を運転することもできる。更にはプラレールの巨大レイアウトも展示されているので、少年時代にはよく遊んだものだとしばらく懐かしんだ。特に、当時は存在しなかった車両やパーツを見ているうちに、大人になった今、もう一度真剣にプラレールで遊んでみたらレイアウトの発想もかなりこだわり抜いたものになり、足りない部品は自由に追加購入するのも容易いという、とても子供の遊び程度では済まされなくなりそうな気がした。


ジオラマ見学を終えてお土産を調達したあとは、出発地点の越後湯沢へと戻ることになる。日本海ひすいラインで直江津へ行き、ほくほく線超快速スノーラビットで越後湯沢へ行く。途中の筒石から先は、3月に山岳トンネル内旅客駅制覇の際に利用した列車と同じダイヤ上を進む。


糸魚川17:03

日本海ひすいライン直江津行

↓10

直江津17:55

ほくほく線超快速越後湯沢行

越後湯沢18:53着


日本海ひすいラインは1両編成の気動車による運行なので、まるで線路の上を走るバスみたいな感じだ。

日本海という名を冠するだけあって、この路線のすぐそばには常に海があり、車窓としてはかなり好きな路線の一つになっている。


直江津駅ではほくほく線の超快速列車が待っている。どうやら土休日のゆめぞら号運転日には、ゆめぞらの映像投影列車の運用後にゆめぞら号が越後湯沢行き超快速になるようで、山岳トンネル内旅客駅制覇のときもゆめぞら号による超快速だった。

通常のほくほく線車両よりも座席の質も良く、間接照明で車内の雰囲気も良いので、個人的には特急列車にでも乗っている気分でありがたい。


面白いのは、やはり超快速の英語表記だ。“超”=superではなく、そのまま“Cho”にしてあるからだ。車内の案内表示板も“Cho” Rapidとあるし、側面外側の行き先表示器も「超快速“Cho” Rap.」または「超快速“Cho”スノーラビット」となっている。

北陸新幹線開業によるドル箱特急はくたかを失った北越急行の“超”快速に込める思いというのが大きいことがヒシヒシと伝わってくるように感じられる。

二度目の乗車だが、今回は終点の越後湯沢まで乗った。

ほくほく線内に入ってからはほとんど最高速度の時速110㎞で運転されているので、大きな加速や減速がないので大変乗り心地が良い。途中停車駅も十日町のみなので、乗客の乗り降りに伴う移動もないので車内は落ち着いた感じなのもありがたい。

十日町駅からは大地の芸術祭の鑑賞客の帰宅の途に重なり、ほぼ満席で一部立ち客も出るほどの盛況ぶりであった。


それもそのはず。

超快速が越後湯沢に到着すると、乗り換え7分で上越新幹線Maxとき342号東京行きに乗ることができ、このMaxとき342号は速達タイプの停車駅設定なので途中大宮と上野に止まるだけで、東京には20:12に到着できるのだ。

また、Maxとき342号の発車から9分後には越後湯沢始発のたにがわ412号東京行きが発車する。こちらは途中駅に全て停まるものの、自由席で確実に座りたい人には始発列車なのでありがたい列車だろう。たにがわ412号の東京到着はMaxとき342号の到着から28分後の20:40である。

ちなみに、直江津駅で超快速発車時刻4分前の17:51発の妙高はねうまラインに乗って上越妙高から北陸新幹線に乗って東京へ向かうと、上越妙高で34分待ちの18:43発はくたか574号東京行きに乗れるが、東京到着はたにがわ412号到着の12分後、Maxとき342号到着から40分後の20:52になる。

時間面でも料金面でもほくほく線超快速スノーラビットを使って上越新幹線で東京へ向かった方が断然有利であり、地方ローカル線の北越急行が国御用達の整備新幹線に打ち勝ったことを如実に表している例の一つである。

中越地方や上越地方の観光からの帰宅には、ほくほく線超快速スノーラビットは非常に便利な列車になっていると思った。



~旅程~


越後湯沢駅到着後は友達とも別れ、関東への帰路についた。

越後湯沢駅始発の上越新幹線たにがわ412号東京行きの自由席に乗り込み、新潟県をあとにした。

さすがにスキーシーズンでもなくUターンラッシュにも当たらない時期は自由席と言えども越後湯沢始発の新幹線はガラガラに空いており、最後までのんびりと過ごせたのは嬉しい。

ずっと足を伸ばしながら東京まで行けたらと思うものだが、今回も途中の大宮駅で新幹線を下車し、埼京線で池袋へ向かい、そこから副都心線に乗り換えて東急東横線に直通して菊名駅を目指した。

こうすることで、新幹線乗車区間の削減と通勤定期との併用で節約した訳だ。


越後湯沢19:09

上越新幹線

たにがわ東京行

始発

↓6

大宮20:21

埼京線新木場行

始発

↓7 6号車

池袋21:01

副都心線急行元町・中華街行

↓2

菊名21:42

横浜線東神奈川行

大口21:46着


今回の旅は両日ともに雨であり、特に二日目の30日は常に傘が手放せない状態だった。ただ、清津峡や田代の七ツ釜や美人林などの野外での観光がメインだった一日目の29日は清津峡到着時のみ雨に降られただけで、清津峡トンネル内を観光中に雨が止んでくれてからは天候は回復傾向だったのは幸いだ。松之山温泉に着いた頃は晴れ間も出ていたほどで、長岡へ帰るときは夕焼けまで拝めた。まとまった雨が降ったのがイベント列車乗車やフォッサマグナミュージアム見学などの屋内観光主体の日になってくれたことは何よりだ。


清津峡や美人林をはじめとする自然が織り成す造形に感動し、日本三大薬湯で癒やされつつ、ほくほく線ゆめぞら号と超快速スノーラビットのほかレンガ車庫などの新潟県が誇る鉄道の魅力をたっぷりと感じることができる旅となった。

また、今年3月開業の北陸新幹線と共にJRから分離された第三セクター各線をまとめて乗車でき、ほくほく線を含めて新潟県内に本社を置く第三セクター鉄道路線を全て乗り尽くした旅路となったのは、想定外のことだったが。


新潟行き

中根町18:54

東急バス東98系統東京駅南口

↓45

東京20:24

上越新幹線Maxとき347号新潟行

15号車2F 23A席

長岡22:20着


一日目

自家用車移動

・清津峡

・田代七ツ釜

・美人林

・松之山温泉


二日目

越後湯沢10:38

ほくほく線直江津行

↓15

直江津12:12

妙高はねうまライン妙高高原行

↓26

上越妙高12:55

北陸新幹線はくたか金沢行

↓22 ¥1530

糸魚川駅アルプス口13:30

美山公園博物館線糸魚川駅アルプス口行

↓ ¥100

フォッサマグナミュージアム13:40着

↓120

フォッサマグナミュージアム

美山公園博物館線糸魚川駅アルプス口行

↓73 ¥100

糸魚川17:03

日本海ひすいライン直江津行

↓10

直江津17:55

ほくほく線超快速越後湯沢行

↓16

越後湯沢19:09

上越新幹線たにがわ東京行

始発

↓6

大宮20:21

埼京線新木場行

始発

↓7 6号車

池袋21:01

副都心線急行元町・中華街行

↓2

菊名21:42

横浜線東神奈川行

大口21:46着



新幹線

東京→長岡 トクだ値G¥9770

上越妙高ー糸魚川 新幹線自由席¥1530

越後湯沢→池袋 新幹線自由席¥5940


在来線

越後ツーデーパス¥2690


バス

東急バス¥220

糸魚川バス¥100×2




中根町ー東京駅南口 東急バス東98系統

東京ー長岡 上越新幹線 E4系

越後湯沢ー直江津 ほくほく線 HK100形100番台

直江津ー上越妙高 妙高はねうまライン ET127系

上越妙高ー糸魚川 北陸新幹線 E7系

糸魚川駅ーフォッサマグナミュージアム 糸魚川バス

フォッサマグナミュージアムー糸魚川駅 糸魚川バス

糸魚川ー直江津 日本海ひすいライン ET122形

直江津ー越後湯沢 ほくほく線 HK100形100番台

越後湯沢ー大宮 上越新幹線 E2系

大宮ー池袋 埼京線 東臨70-000形

池袋ー菊名 副都心線・東急東横線 西武6000系

菊名ー大口 横浜線 E233系6000番台



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旅を終えた旅人の足跡 河邑 遊市 @K-Yuichi

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