高校時代から遠く離れた読者にとってはほほえましく、これから高校生活を始めようとする読者にとってはあこがれの思いを抱き、高校生活まっただなかの読者にとってはドキドキするラブストーリーです。つまり、全年齢対象。甘酸っぱい思いに浸りたい時にぜひどうぞ。
久しぶりにあった幼馴染の高校生の男女ふたり。昔から知っていることもあれば、久しぶりに会い知らないことも。夏祭りの喧騒のなか、ふたりだけの青春が繰り広げられます。夏特有の甘酸っぱさと淡さ感じることができる物語です。読後、さわやかな気持ちになります!
夏祭りの日。久しぶりに会った幼馴染の二人。淡い恋心。みずみずしい描写。情景をスケッチのように。一読めはそう感じて。「あれ?」と気づいて、二読めで五感に雪崩れ込んできた。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚。全てだ……これ!映像……オレンジ色に染まる町並み。流れる大粒の汗。柔らかそうな唇。音……蝉時雨。太鼓に篠笛の祭囃子。花火。手触り……ぐしゃぐしゃにされる髪。涙を拭う手と繋がれる手。味・匂い……屋台のチョコバナナ。感覚機能が一気にひらく作品。くうう。巧い! てか、やられたー!
淡く暮れていく夏祭りの夕方と高校生の幼馴染に対する淡い想いが相まった雰囲気がとても良いです。そして女性が読むと、主人公の男の子のちょっとした包容力にキュンとします。
もっと見る