剣と魔法の世界に生きる「等身大の人々」の物語

王道ファンタジーと呼ぶには、この物語に登場する人々はあまりにも現実世界で生きている私たちに近すぎる。王道ファンタジーに必要な勇者などと呼ばれる特別な存在がいない。主人公の少年だけでなく、彼に関わる人もみんな特別とは言えないのではないと思います。

空から降ってきた少女は、何を考えているのかよくわからないところもあるけれど、実際に考えを口にしない人はよくいると思う。この物語で重要な役割を持つ少女なら、実際にいる人よりも魅力的に捉えられるのではないだろうか。

主人公の少年は、応援するだけではなく、いらだつことも少なくない。だからこそ、彼一人ではこの物語は成り立たない。

他にも、理解はできるけど、共感はできない登場人物も少なくない。それは、やはり「等身大の人々」だからではないだろうか。

王道ファンタジーと呼ぶには、あまりにも現実世界で生きている読者に近すぎるハイファンタジーを、ぜひご一読ください。

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