顔
リエミ
顔
神様は人間を創りました。
人間をたくさん創るにあたって、一人ずつを区別できるようにと、顔をそれぞれ変えました。
しかし、これも長いことやっていると、レパートリーがなくなりました。
一人につき二人の両親がいるのですから、彼らを合わせた顔にするとよいことに気づきました。二番目に産まれた子は、さらに一部分を変えればいいわけです。
そしてしばらく、神様は創作が楽になりました。
しかし、ついにネタがつきました。
こうなるともう、どうでもいいやと思いました。
だから同じ顔を二人創って、これを双子としました。
さらに、三つ子、四つ子と創り上げ、まったく関係のない一人と一人を、同じ顔にすることも思いつきました。彼らはいつしか出会って、世界には同じ顔の人間が何人かいる、と言い合いました。
神様は死んだ人間の顔を、新たに創って、このことを「輪廻転生」とも言いましたし、「もう創るのも飽きた」とも言いました。
するとどうしたことか、せっかく創った顔を、人間は自ら変え始める者もでてきたのです。
それは整形でした。
神様はこれにはがっかりして、もう美的意識や芸術といったことにこだわらなくなって、どうでもいい顔を創り出したのです。
しかし、人間はもう、そんなことではめげません。
「人は顔ではなく中身」と言う人間もいますし、「整形すれば何とでもなる」と言う人間もいたのですから、神様は、あとは人間たちに任せておくことにしたのでした。
時々、神様の気まぐれで、絶世の美女や、怪物と呼ばれる顔、男女の区別もつかない顔、老け顔、童顔、大きな顔や小さな顔、いろいろな顔が生み出されます。
これらはまれで、神様の遊び心からなるものでした。
これにより、神様は気持ちも楽に過ごせるのです。
◆ E N D
顔 リエミ @riemi
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