第10話 ツンデレってどうやるの?
「何を着ていこうかな~~」
明日、急遽決まった、決めてしまったお兄ちゃんとのデート……取材の為だけど、久しぶりのお出かけ……ちょっと嬉しい
前は時々出掛けていた。最近すっかりご無沙汰、あ、食料品の買い出しや、コンビニくらいは言ってたけどね。
時間を気にしながら私はクローゼットからありったけの服を出しベットに並べ眺める。は、裸じゃないよ、下着は着けてるから!
下着姿で全身見える鏡の前で選んだ服を合わせて見る。
お風呂で色々と準備に手間取って結構時間が過ぎてしまった、急がなければ……
寝不足でデートとは避けたい。場合によっては夜遅く迄続くかも知れない……それこそお泊まりの可能性も…………取材よ、取材だからね!
「服もそうだけど……問題は下着だよ、ああ、もっと可愛いの買っておけば良かったああああああ」
こんな事……想定もしてなかったから何も準備していない、当然上下お揃いの新品じゃないと駄目だよね……
「お兄ちゃんの好みとかもっと調べて置けば良かった……」
そもそも漫画のモデルはお兄ちゃんなんだから、お兄ちゃんの事をもっと調べないといけない、お兄ちゃんの好みを……性癖を……
「せめて定番のエッチな本くらい探せば良かったかな? お兄ちゃん結構なオタクだからエッチな漫画とか絶対に持ってるよね……好みの漫画とかあるだろうし」
当たり前だけど妹属性とかは無いだろうから、参考にならないかも知れない……ただ……私と正反対の娘が好みだったら、ちょっとショックかも。
「胸……大きい娘が好みだったらやだな……」
小さい身長、華奢な身体、いわゆる幼児体型……昔から身体が弱くて家にこもってばかりだった。肌が白くて羨ましいなんて言われるけど、青白くてひょろっとしていて、私は自分の身体は好きではない。
「お兄ちゃん……ロリだったら良いのに……いや、それはそれで嫌かも」
ロリじゃなく、私の事を……
「違ううううう、なに考えてるんだわたしいいいい」
まずい、頭が完全に漫画モードになってる。違う、あくまでも取材、あくまでもモデル、私自身お兄ちゃんの事をなんて……なんて……
嫌いじゃない、むしろ大好き……小さい頃身体が弱くて外にあまり出れなかった。学校も休みがち……せっかく出来た友達も休んでいる間に他の人と仲良くなってしまう。
友達もいない、身体も弱い、なのでいつも家にばかりいた……でも……寂しくはなかった。お兄ちゃんがいたから、いつもお兄ちゃんが一緒にいてくれた。
お父さんもお母さんも仕事で忙しい、家では私とお兄ちゃんの二人きり……お兄ちゃんは別に身体が弱いわけじゃない、でもいつも一緒にいてくれた。私が寂しくないように、いつもいつも一緒に……
「恋愛感情じゃない……でも……好き……大好き……だから」
だからこれを、この気持ちを少し変えて、少しだけ変えて漫画に描こうって思った……私がお兄ちゃんとなんて現実にはあり得ない。でも、漫画なら、ファンタジーの世界なら、私のキャラはお兄ちゃんを愛せる、愛して貰える。
私が法律で私が神……私の世界、何でも出来る私の世界で二人を……
「とりあえず、なりきろう自分のキャラに、お兄ちゃんが大好きな、キャラを演じよう」
そう、私は漫画のキャラだ。お兄ちゃんを愛する漫画のキャラ……
「っていうか……設定ツンデレにしちゃったんだよね」
私が描いた漫画、1話目はツンデレ妹がお兄ちゃんとイチャイチャする、そしお兄ちゃんを思い一人で……
し、した事ないよ! そんな……お兄ちゃんを思ってなんて! 何度も言ってるけどファンタジーなんだからね! あくまでもおとぎ話なんだからね!
鏡に向かって自分で自分に言い聞かせる……あ、今ツンデレ出来てた?
「とりあえず下着は今さら買いにいけないし……もうこれでしょうがない……そんなに見られる事態には……ならないよね?」
時間がどんどん過ぎていく、もう決めないと…………
「うん! 服はこれでいいかな?」
可愛くて清楚で、ちょっと大人っぽいお気に入りのワンピース。
「明日はツンデレ妹になりきってお兄ちゃんとデート、えへへ…………ってそんな楽しみなわけじゃないんだからね! お兄ちゃんとデートなんて、面倒なだけなんだからね! 仕方なくよ……あくまでも取材の為なんだからね!」
鏡に向かってツンデレキャラを演じてみた……
完璧じゃない? 完璧だよね! 完璧って言ってえええええ!
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