第3話 妹は覗き魔?

 

 何か最近妹の様子が変だ、どう変かと言うと……視線を感じる、いや感じるなんてものじゃない、監視されている……


 何だ? 俺は妹に何かしたか? そんな覚えはない……、そもそも最近は挨拶以外の会話も録にしていない。


 ここ1年弱、そう妹は高校に入学した頃から部屋に籠る事が多くなった、何をしているのか聞こうと思ったが、いくら妹とはいえ、年頃の女子の行動、しかも部屋で何をしているかなんて中々聞けない、俺だって聞かれたくない。


 別に仲が悪いわけではない、俺と妹は多分ごく普通の兄妹だ。


 普通会話もするし、一緒にご飯も食べるし、時々ゲームで遊んだりもしてた……


 妹が部屋に籠る様になっても、挨拶もしてるし、ご飯も一緒に食べている……


 だから、監視されている理由が分からない、妹は俺に何か言いたい事があるんだろうか?



  ま、まさか……妹は……



 俺が……妹物のエロマンガを読んでいる事を知っているのか!



 俺が妹物にエロマンガを読んでいる事を知ってしまったのか!


「ま……まずい……」


 それはまずい、非常にまずいぞ、そんなマンガを読んでいるイコール、妹を性的な目で見ているって事じゃないか。


 つまり!


 妹は俺が性的な目で見ている、見られていると思っているから……ひょっとしたら俺に襲われるかもしれないなんて思っているから、俺を警戒して……監視しているじゃないのか?


「ばかな!」


 いや確かにうちの妹は可愛い、いや客観的的に見てだ、客観的に見て可愛いと思うだけだぞ!


 あのマンガが、あの妹が俺の妹って考えると、考えると……考え……


「くっ」


 そ、想像してしまった……


 だってな、だってさ! 似てるんだ……ちょっと似てるんだよあの兄妹、あのマンガの兄妹。


 俺の妹……名前は奈々瀬 環(ななせ たまき)、ちなみに俺は望(のぞむ)年の差は一つ違い、同じ高校生で俺は2年、妹は1年、家では下ろしているが普段は黒髪ツインテール、まあロリ系、ちょっとツンデレ入ってる。


 作品の妹がまさにそんな感じ、似ているんだよ!


 そもそも俺はロリコンじゃねえし、巨乳好きだし、妹ツルペタだし……

 俺の好みじゃねえんだよ!


 でも、流石は神と崇める瑞希麗奈先生、読んだ後はロリも中々…………


 いや! 違うぞ、ロリが好きなんじゃない! 妹が好きなんじゃない! 先生のキャラが好きなんだ!


「!」


  そんな事を考えていると……感じる、また視線を感じる……


 今、俺はリビングのソファーに座りだらけながら携帯を見ている振りをしている。

 妹は本当に俺を監視しているのか、わざと隙を見せて妹をおびき出す為に。


 俺は携帯を見ながらバレない様に辺りを見回す…………あそこか? 


 普段あまり使わない扉、両親の寝室に直接行ける扉、家具が少し邪魔になるのでいつもは廊下を回ってから部屋に入って行く。


 その扉が僅かに開いている……今家に居るのは俺と妹だけだ、つまり第三者、他人が家に居ない限りあの扉からこっちを伺っているのは妹だけだ!


 その隙間を見ながら考える……どうするか、ここで俺があの扉を開き妹になぜ俺を見ているかを問う事は簡単だ、しかし、もしそこで、俺が妹物エロマンガを読んでいる事を逆に問われたら、俺はなんて答えればいいんだ。


『お兄ちゃん……キモい、近寄らないで、あとお父さんお母さんに言うから、私お兄ちゃんから性的な目で見られてるって』


「うわ、ダメだあああああ」


 いくら放任主義、何でも好きなことをやらせてくれる両親でも、さすがに妹に手を出す事は許してくれない、いや出すつもりはないぞ! でも妹がそう言えば、俺の部屋に入り、そういう類いの本を探すだろう、そこであの本が出てきたら、妹物エロマンガが出てきたら、もう何も言い訳出来ない……


「かといって、このままじゃ……」

 俺は悩んだあげく、ソファーから立ち上がり、何気なく扉に近づく……そしてその少し開いている扉を一気に開けた!




「………………いない」

 扉を開けるとそこには家具の裏側、その横からそっと中を覗いたが両親の寝室には誰も居なかった、しかしやはり誰かがそこに居た形跡を見つける。


「これは?」


 なにやら人が座っている様な線が書かれている絵が1枚落ちていた。










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