第6話 兄妹での恋愛ってどんな気持ちなの?
「お兄ちゃんを好きな妹……お兄ちゃんとエッチな事をしちゃう妹……ううう」
私は悩んでいた……兄妹の恋愛なんて全くわからない……
前作は高校生の話しだからまだ良かった。
ちょっと進んでる友達の友達に話を聞いて、それを自分の欲望とアレンジしたから……欲望……だって私……彼氏いないし……
一応漫画家をやっているのは隠している。あ、未成年なので一応お母さんにだけは仕方なく言った。でもエッチな漫画を描いている事迄は言ってない。
放任主義の両親、自己責任で何をしても良いって言われている。
ギリギリだけど、別に悪い事しているわけじゃないから……良いよね?
そして友達には、「小説を書きたいかも」って言って誤魔化している……
物語ってやっぱりある程度経験が無いと書けない気がする。
小さい頃ちょっと病弱だった私、家に引きこもって絵ばかり描いていた。
だから絵は凄く得意だけど、物語は書けない。感情とか良く分からない……
好きって気持ちはなんとなく分かるけど、人を愛するとか恋するって……どんな気持ちなのか分からない。
だから友達に頼る、友達の友達に取材をして描いていた。
そうやって私は漫画家になった……夢だった漫画家になれた。
成人向けのちょっとエッチな漫画だけど……漫画家は漫画家だ。
エッチな成人向け漫画家から一般向け漫画家になった人なんて一杯いる。
私は成人向けだろうと一般向けだろうと一生懸命描くだけ、それが仕事、お金を貰ってるプロなんだから。
「でも……でもおおおおお」
この間描いたのは、まだそう言う話しじゃなくて、とにかく妹ちゃんがお兄ちゃんにベタベタしているだけの話。
とにかくベタベタして、イチャイチャしている所を描いただけ……昔の私みたいに……
お兄ちゃんの事は好き、今でも嫌いじゃない、大好き。小さい頃病弱だった私の事をたくさんたくさん面倒見てくれた。家で一緒に遊んでくれた……優しいお兄ちゃん……
そのお兄ちゃんと……いや、違うこれは漫画だ、創作だ!
でも……私……やっぱり想像力が足りないの……ファンタジーとか絶対に無理……いつもそれを指摘される。
『絵は良いんだけど、内容が今一、もっと想像力を働かせて』
「想像力って何? どうやって働かすの?」
前作は友達に頼った。女子高生の恋愛……教師、友人、先輩、後輩、次々にエッチしちゃう女子高生……友達の友達数人から話しを聞いて描いた作品。
ちょっとやり過ぎちゃって、キャラクターが嫌われちゃったらしく打ちきりに……
だってエッチな事を書けって言ったから……色んな人と毎回エッチなシーンを描いたら。
『こんなビッチ萌えない』『絵はエロくて良いけどやり過ぎ』
そんなアンケートが沢山来た。
萌えとか……わからない……エッチ過ぎると萌えない? ビッチは駄目? 加減が分からない……
担当の阿部定世さんが言っていた。
「成人向け漫画と言っても、この雑誌はエッチな物をそれなりに出したストーリ漫画を中心とした作品を全面に押し出しているの、読者もそういう作品を求めている。短編でエッチして終わりって雑誌じゃないの、それを理解して描いてね?」
「毎回エッチなシーンを出せば良いってわけじゃない、あまりそう言うのを出しすぎるとキャラが嫌われちゃう……なにそれ、わかんないよ~~」
とりあえず1話目は私とお兄ちゃんの事を描いた。妹ちゃんはお兄ちゃんに甘えるけど、お兄ちゃんは少し困りながらも妹ちゃんを甘えさせる……そんな兄妹……昔の私とお兄ちゃん……
ここまではいい、昔の私とお兄ちゃんの事を多少誇張して描いた……でも次はエッチなシーンを……二人がお互いに意識をするシーン、そして触れあうシーン…………どうやって?
兄妹で付き合ってる人なんて友達にいない、兄妹で触れあった時どんな気持ちになるの? 分からない、分からないよ……
触れあい意識が芽生えそして……キスをする……兄妹で……キス……
兄妹でキスすると、どんな気持ちになるの? キモいってしか思えない……
それじゃ駄目だ、これは愛し合っている兄妹の話しなんだから……
「どうしよう、そろそろネームを送らないと……」
当然だけどアシスタントはいない、私一人で描いているので隔週は結構大変だって言われたけど、私……絵は得意だから今の所描くのは全く問題ない。なんだったら下書きもいらない、液タブで下書き無しでペン入れだって出来ちゃう。
ただ、やはりネームは送らないといけないから、下書きはするんだけどね。
コマ割も嫌いじゃない、漫画を描くのは凄く楽しい……この作業、ネームを……話しを考える作業さえなければ……
「どうしようこのままじゃ絶対に無理だ、次はまだ良い。触れあって意識して終わりにすれば……でもその後は? キスだよね、そして……エッチな事を……それは分かる、絵は描ける。でも分からない、二人兄妹にどんな感情が芽生えるの? その時どんな気持ちになるの? 表情は? 仕草は? 分からない、分からないよ~~」
誰かに協力をして貰わないと……誰に? そんなの……一人しかいない……一人しか…………お兄ちゃんしか…………いない。
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