第9話 アドベンチャー
時折、休憩を挟みながら、横川のおぎのやの釜飯で早目のお昼を済ませて、軽井沢の別荘地に入る。別棟のガレージのある立派な別荘に着いた。アペの出品者である初老の男性はヴェスパとランブレッタで突然現れた女性の4人組にびっくりしている。
美生がアペにミニカーの青いナンバープレートを取り付けて、エンジンをかけた。動画のとおり問題はなさそうだ。アペのオーナーはちょっと待ってと言って、ガレージの中から、アペのパーツがいっぱい入っているダンボール箱を持って来て、アペの荷台に載せた。
美人は得だなあと、美生たちは思った。オーナーは陽に握手されて、とても嬉しそうだ。
アペの元オーナーとなった初老の男性に礼を言って、美生たちは出発した。陽がアペに乗って、美生と佳はランブレッタでタンデム、有希がヴェスパに乗る。
アペは遅かった。50ccのエンジンで屋根と荷台が付いているのだから無理もない。平らな道では何とか40キロは出るが、峠にさしかかると20キロ以下になる。まあクッチョロと同じくらいの速さといったところだった。
アペはミニカー登録だから、ヘルメットはかぶらなくてもよい。対向車線を走る車に乗っている人たちは、小さな三輪トラックとそれを運転している陽を見てびっくりしているのが、美生たちにはおかしかった。
美生も交代でアペに乗ったが、窓を閉めると狭くて圧迫感がすごいし、音もこもってうるさい。美生は窓を全開にして走り続けた。
このまま行くと、東京に着くのは深夜になってしまいそうだったので、事前に考えていたプラン通り、高崎の有希の家に泊めてもらうことにした。有希の両親はなんとしてでも、うちに泊まれと有希に言っていたらしい。有希の母が作ってくれたご馳走を美生たちはお腹いっぱい食べた。有希の父は陽にでれでれしている。そんな父を有希は冷ややかな目で見ていた。
翌日、早朝の道路が空いているうちに、美生たちは出発した。アペはゆっくりながら、何のトラブルもなく走り続け、昼前にバイク屋に着いたのであった。
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