第8話 アペ
「これがほしいの。」
それは、小さな3輪トラックだった。トリシティは前2輪だが、そのトラックは前1輪、後2輪である。
そのトラックは『アペ』といって、ヴェスパをベースに屋根と荷台を付けた1人乗りの簡易なトラックだった。イタリアでは、ちょっとした行商や荷物運搬に使われていたらしい。『アペ』もヴェスパと同じように排気量の大きくて、二人乗りの機種もあるのだが、陽が今回目を付けたのは50ccの一番小さなモデルである。
ちなみにヴェスパは雀蜂という意味のイタリア語だが、アペは蜜蜂という意味である。
この車両は、動画サイトに動いているところがアップされていて、もし陽がこのアペを購入すれば整備をすることになるであろう、バイク屋の店主はそれを見て、まあ大丈夫でしょう、と言ったそうだ。
このアペは、出品者の軽井沢の別荘に置いてあるとのことで、陽が唐突に言った。
「みんなで軽井沢までバイクで行って、乗って帰ろう!」
美生たちが何か言う間もなく、その場で陽は即決で落札してしまった。出品者とやりとりし、数日のうちに決済を済ませ、ナンバー登録をした。
そして、土曜日の朝に美生と
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