クッチョロ!!3

沙魚人

第1話 カスタマー

美生みおはいつものようにけいの部屋のソファでくつろいでいた。スマホに着信があって、見るとバイク屋の店主からである。


珍しいこともあるものだ、と思って出た。


「お世話になります。美生さん、今、電話大丈夫ですか?」


「はい、大丈夫です。」


佳が美生の首に抱きついて、電話の邪魔をする。美生は優しく佳を引き剥がした。


店主によると、ヴェスパが欲しいという新規のお客さんがいるのだが、今、重整備が2、3入ってしまっていて、そちらが片付くまで一月程待ってほしいとお願いしている。が、日本語が通じないのか、毎日のように電話がかかってくる。


電話に出るまで1日に何度もかけてくるし、出ればとりあえずその日はもうかかってこなくなるので出て、なるべく早く話を終えるようにしていたのだが、話を聞いている内に、美生と同じ女子大の学生だとわかった。


そこで店主の手が空くまで、美生にそのお客さんのヴェスパの話を聞いてやってくれないか? ということだった。店主もかなり困っているようだったので、引き受ける旨伝えると、


「助かります、そのお客さんに美生さんの電話番号を教えて、連絡するよう伝えます。」


電話が切れて、美生は、多分あの人かな、と見当がついた。


その人は、とにかくすごい美人だった。

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